【オカルト】浴室。俺はゆっくりと目を開けた。 目の前には、男の顔があった。
826:名無しのオカルト 2018/08/27(月) 02:33:32.87 ID: ID:6u6BKYW/0.net
浴室1/3
シャワーを浴びていて、目を瞑った時、急に怖くなった事は無いだろうか。
誰かが後ろに立っている気がして。或いは、目の前に―
その日はいつもと何も変わらない日だった。
大学で授業を受け、サークルへ顔を出しそのまま飲み会へ。
フラフラとした足取りで家にたどり着いた時にはもう、時計の針は夜中の2時を少し過ぎてしまっていた。
明日も朝から予定があった事を思うと、少し気が滅入ってしまう。
とりあえず風呂に入る事にして、俺は浴室へ向かった。
服を脱ぎ、風呂椅子に腰掛ける。
軽くシャワーで身体を流してからシャンプーを手に取る。
俺はこの頭を洗っている瞬間がたまらなく好きだ。1日の疲れを、精神的な物まで洗い流している気がしてしまうのだ。目を閉じてそれを噛みしめていると
…
ふと、何者かの気配を感じた。
いや、感じたというには少し希薄過ぎるかもしれない。
「いる気がした」と言うのが一番しっくりくるかもしれない。
シャワーを浴びていて、目を瞑った時、急に怖くなった事は無いだろうか。
誰かが後ろに立っている気がして。或いは、目の前に―
その日はいつもと何も変わらない日だった。
大学で授業を受け、サークルへ顔を出しそのまま飲み会へ。
フラフラとした足取りで家にたどり着いた時にはもう、時計の針は夜中の2時を少し過ぎてしまっていた。
明日も朝から予定があった事を思うと、少し気が滅入ってしまう。
とりあえず風呂に入る事にして、俺は浴室へ向かった。
服を脱ぎ、風呂椅子に腰掛ける。
軽くシャワーで身体を流してからシャンプーを手に取る。
俺はこの頭を洗っている瞬間がたまらなく好きだ。1日の疲れを、精神的な物まで洗い流している気がしてしまうのだ。目を閉じてそれを噛みしめていると
…
ふと、何者かの気配を感じた。
いや、感じたというには少し希薄過ぎるかもしれない。
「いる気がした」と言うのが一番しっくりくるかもしれない。
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827:名無しのオカルト 2018/08/27(月) 02:33:53.36 ID: ID:6u6BKYW/0.net
浴室 2/3
自分以外の誰かが、この浴室の中で自分を眺めているような。そんな気がしてしまう。
冷静な俺が頭の中で声をかけてくる。
そんな筈は無い。この家には今自分しかいないし、第一ドアには鍵がかかっている。
いる筈がない。自分1人のはずだ。
しかし、この浴室という狭い個室の中、目を閉じている間は、その確信が揺らいでしまう。
1人しかいない観測者が、目を閉じて観測をやめた今、どうしてこの部屋の中に自分しかいないと断言できるのだろうか。
頭の中で、そのいるはずない人物への恐怖が膨らんでいく。その膨らんだ恐怖が、目を閉じた僕の目の前に集まり、徐々に形作られていった。目の前に、男がいる。
もうだめだ、目を開けたい。目を開けて、何もない事を確認したい。だが、僅かに否定しきれなかったその存在の可能性が、俺の瞼を固く閉ざしている。
目を開けたい、いや閉じていたい、早くこの恐怖から解放されたい。
意を決して、俺はゆっくりと目を開けた。
目の前には、男の顔があった。
自分以外の誰かが、この浴室の中で自分を眺めているような。そんな気がしてしまう。
冷静な俺が頭の中で声をかけてくる。
そんな筈は無い。この家には今自分しかいないし、第一ドアには鍵がかかっている。
いる筈がない。自分1人のはずだ。
しかし、この浴室という狭い個室の中、目を閉じている間は、その確信が揺らいでしまう。
1人しかいない観測者が、目を閉じて観測をやめた今、どうしてこの部屋の中に自分しかいないと断言できるのだろうか。
頭の中で、そのいるはずない人物への恐怖が膨らんでいく。その膨らんだ恐怖が、目を閉じた僕の目の前に集まり、徐々に形作られていった。目の前に、男がいる。
もうだめだ、目を開けたい。目を開けて、何もない事を確認したい。だが、僅かに否定しきれなかったその存在の可能性が、俺の瞼を固く閉ざしている。
目を開けたい、いや閉じていたい、早くこの恐怖から解放されたい。
意を決して、俺はゆっくりと目を開けた。
目の前には、男の顔があった。
828:名無しのオカルト 2018/08/27(月) 02:34:38.28 ID: ID:6u6BKYW/0.net
浴室 3/3
…
俺は笑い出してしまった。自分。目の前にあったのは、鏡に映った自分の顔だったのだ。
あまりに馬鹿らしい結末と、先程までの自分の動揺に、笑いが堪えられなかったのだ。
…
ふと、視線を元に戻して、俺は固まった。
笑っていた。俺は今笑っていたんだ。
自分の間抜けさに、恐怖のいく先が自分だった事に。少なくとも10秒程度は笑い声を上げていた筈なのに。
目の前にある自分の顔は依然として無表情で、俺を見つめていた。
背筋に怖気が走った。体が動かない。
その恐怖の表情すら浮かべない鏡の中の自分に、さらに恐怖が増していく。
男の顔が少しずつ変わっていく。
いや、変わっているのではない、目の前にある自分と異なる動きをする顔を、脳が他人と認識してしまっているのだ。
自分と同じ顔をした、他人だと。
「君は誰だ」
俺は自然と問いかけてしまっていた。
瞬間、今まで微動だにしなかったその男は、口を開けて笑い出した。
…
俺は笑い出してしまった。自分。目の前にあったのは、鏡に映った自分の顔だったのだ。
あまりに馬鹿らしい結末と、先程までの自分の動揺に、笑いが堪えられなかったのだ。
…
ふと、視線を元に戻して、俺は固まった。
笑っていた。俺は今笑っていたんだ。
自分の間抜けさに、恐怖のいく先が自分だった事に。少なくとも10秒程度は笑い声を上げていた筈なのに。
目の前にある自分の顔は依然として無表情で、俺を見つめていた。
背筋に怖気が走った。体が動かない。
その恐怖の表情すら浮かべない鏡の中の自分に、さらに恐怖が増していく。
男の顔が少しずつ変わっていく。
いや、変わっているのではない、目の前にある自分と異なる動きをする顔を、脳が他人と認識してしまっているのだ。
自分と同じ顔をした、他人だと。
「君は誰だ」
俺は自然と問いかけてしまっていた。
瞬間、今まで微動だにしなかったその男は、口を開けて笑い出した。
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?351
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