【短篇集】山の怖い話『バサバサが出たか。流行り病が来るな』『大人の背丈ほどもある鶏』『意外な菜食主義者』【雷鳥】

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72名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:24:49 ID: ID:CNWAGFNo0

376 名前: 雷鳥一号 03/11/29 23:23

知り合いの話。

持ち山で竹を切っている時のこと。
竹林の中から犬の吠える声が聞こえてきたという。
あたりを見回してみたが、どこにも犬の姿は見えない。
それでもやはり、犬の声が聞こえてくる。
里の居酒屋でその話をしていると、顔見知りの老人が呟いた。

バサバサが出たか。流行り病が来るな。

その年の冬は、たちの悪い風邪が里に流行ったのだそうだ。




 

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73名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:33:44 ID: ID:CNWAGFNo0

377 名前: 雷鳥一号 03/11/29 23:25

里山を歩いていると、蕨を見つけたので摘んでいた。
摘み終わって顔を上げると、いつの間にか目と鼻の先に鳥がうずくまっていた。
少し大きめの白い鶏だった。

誰かが山に捨てたのかな、と思いながら嘴先に蕨を差し出してみた。
鶏は蕨の先をつついて飲み込むと、一声大きく鳴いた。
その鳴き声は彼曰く、決して鶏の鳴き声ではなかったという。
何というか、犬の遠吠えによく似ていたというのだ。

目を丸くして驚いていると、鶏は踵を返して山の中に消えた。
その尻尾は異様に長く、まるで白い蛇をぶら下げているように見えたそうだ。




74名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:34:26 ID: ID:CNWAGFNo0

378 名前: 雷鳥一号 03/11/29 23:25

知り合いの話。

雑木林の中の獣道を歩いている時のことだ。
下の沢の方から、何か重いものが斜面を駆け上ってくる音がした。
すわ猪かと手近の木に登った直後に、足音の主が現れた。

茶色の羽根を持つ、大人の背丈ほどもある鶏だった。
気が立っていたのか、あたりの木を手当たり次第に蹴りまくっていた。
やがて鳥とは思えない不気味な唸り声を上げ、上の尾根の方に走り去ったという。

彼のつかまっている木も傷だらけになっていた。
しばらくは木から下りられなかったそうだ。




75名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:35:19 ID: ID:CNWAGFNo0

412 名前: 雷鳥一号 03/12/01 00:55

知り合いの話。

夏休みに家族で、山へキャンプに行ったのだそうだ。
夜、ふと目を覚ますと父親がいない。
テントから顔を出すと、父親と灰色の影がぼそぼそと話をしていた。
彼女は父親がいることに安心して、そのまま寝てしまったという。

山から帰ってくると、父親はいきなり身の回りの整理を始めた。
遺言を書き、財産分けまで済ませてしまい、家族はずいぶんと驚いたらしい。
整理が終わるとほぼ同時に、父親は逝去した。
心臓麻痺だった。

親族から、まるで自分の死期を知っていたようだと言われたそうだ。
彼女はそのキャンプ場には二度と近づかないと言っている。




76名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:36:37 ID: ID:CNWAGFNo0

413 名前: 雷鳥一号 03/12/01 00:56

知り合いの話。

仲間と二人で、冬山でのロッククライミングに出かけた時のこと。
天候が急に崩れ、岩棚の途中で数日足止めを食らった。
これは危ないかなと弱気になっていると、同行した仲間がさらりとこう言った。

大丈夫、俺の寿命はまだあるから、ここは生還できるはずさ。

どういうことかと問うてみた。
聞くと昔、彼は山で出会った何者かに自分の寿命を教えてもらったのだという。
それの正体が何なのかは分からないが、彼自身は不思議と信じているのだと。

次の日には吹雪は止み、彼らは怪我も無く下山できた。
彼の寿命がいつなのかということまでは、さすがに聞けなかったそうだ。




77名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:37:03 ID: ID:CNWAGFNo0

414 名前: 雷鳥一号 03/12/01 01:00

友人の話。

彼のお祖母さんはかつて胃癌の手術を受けたことがある。
手術をしてからというもの、お祖母さんは元気を失くしてしまったのだという。
健康状態に問題は無いのだが、何をする気にもならなかった様子だった。
そんな時、お祖母さんの友人から遊びにおいでと誘いが来た。
出かけるのを渋る祖母を、家族皆で気分転換に行っておいでと送り出した。

数日後、帰ってきた祖母は見違えるように元気になっていた。
私はまだ二十年は死ねないんだよ。
そう言って、色々な学習やボランティア活動に顔を出し始めたのだという。

お祖母さんの友人に「どうやって励ましたのですか」と父が尋ねたところ、
「何もしていませんよ」と答えられた。
ただ、その友人の家は山中にあるのだが、どうやら祖母はそこで出会った誰かに
良いことを教えてもらったと言っていたらしい。
少々不気味だが、塞ぎこんでいるよりは元気な方が良いと家族は言っている。




78名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:38:50 ID: ID:CNWAGFNo0

468 名前: 雷鳥一号 03/12/02 23:37

知り合いの話。

彼はムシャクシャした気分になると、独りで山にこもる癖があった。
その日も彼は一人野営をしていた。
仕事の上で同僚と衝突して、彼は短気を起こして口論になったのだ。
いつものように独り言を呟き始める。
一種の儀式みたいなもので、こうすると冷静に自省できるのだという。

色々と同僚への文句を並べ立てていたが、自分の方にも悪いところがあったのは
彼にも分かっていた。
不満をぶちまけた後で「いや違う、そこは俺が悪かった」と思い直した時。
真向かいの林の中から、はっきりとした声が聞こえた。

 いや、違う。そこは俺が悪かったのだ。

彼自身の声とまったく同じ声色だった。
その瞬間、悟ったのだという。
彼はそれまで独り言をくり返していたつもりだったのだが、実は彼と同じことを
考えている何かと、延々と会話を続けていたのだ。
なぜ、その時まで気がつかなかったのかは分からないが、気がついた途端冷水を
浴びせられたような気がしたそうだ。
それきり彼は黙り込み、林の中の声もそれ以上何も言ってこなかったらしい。

以来、彼は短気を起こさなくなった。
頭に血が上っても、あの時の声を思い出すと、自然と冷静になるのだそうだ。




79名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:40:48 ID: ID:CNWAGFNo0

469 名前: 雷鳥一号 03/12/02 23:37

知り合いの話。

彼女は気が強く、山にも一人で出かけることが多かった。
紅葉狩りに行こうと秋の谷へ出かけた時のことだ。
通る人とて無い細い道を歩いていると、木立の奥より物音がした。
覗いてみると、少し先の木陰で、大きな猿のような背中が樹の根元を掘っていた。

ここで襲われたら逃げられない!
強気な彼女も、その時ばかりは一人でいることに焦ったらしい。
すると、まるで彼女の心を読んだように声がかけられた。

 襲わんよ。わしはこれでも菜食主義者なんでな。

まさか口がきけるとは思わず呆然としていると、それは立ち上がって振り向いた。
大猿の身体に、初老の男性の顔がついていた。
立ちすくむ彼女を残し、それは悠然と歩き去ったという。
その手には、掘り出したばかりの長い山芋を持っていたそうだ。




80名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:44:17 ID: ID:CNWAGFNo0

470 名前: 雷鳥一号 03/12/02 23:38

知り合いの話。

彼のお爺さんは炭焼きをしていたという。
ある寒い夜、窯の前で火の番をしていると、闇の中から声がかけられた。

 寒いから、そちらへ行っても良いか。

里の者だろうと思い、いいよと答えると見慣れぬものが姿を現した。
それは大人ほどの大きさで、全身が黒い剛毛で覆われていた。
目鼻さえ見てとれぬ顔を見て、腰を抜かしかけたそうだ。

 ああ、やはりそうだ。お前も俺が醜いと思うのだな!

それは哀しそうにそう叫ぶと、背を向けて山の中へ逃げていった。
お爺さんは終始口を開くことができなかったそうだ。




81名無しのオカルト 2009/02/26(木) 02:45:34 ID: ID:CNWAGFNo0

472 名前: 雷鳥一号 03/12/02 23:50

後輩の話。

小洒落た山小屋を借りて、友人たちと焼き肉パーティーを開いた。
肉を焼く網は小屋に備え付けてあったらしい。
夜中に外で音がしたので様子をうかがうと、どうやら牝鹿が一頭いるようだった。
後輩たちが外に出て近づいても、鹿は悠然と使用済みの網を舐めていた。

その鹿は、額の真中に赤い目がただ一つだけ付いていた。
好きなだけ網を舐めると、奇妙な鹿は満足気に去って行ったそうだ。




引用元:∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
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この記事へのコメント

 コメント一覧 (8)

    • 1. 名無しのオカルト
    • 2020年11月25日 23:27
    • 懐かしいもんまとめてんじゃーん!いいゾ〜
    • 0
      occlut_soku

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    • 2. 名無しのオカルト
    • 2020年11月26日 04:09
    • この人の語り口は良いよねえ
    • 0
      occlut_soku

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    • 3. 名無しのオカルト
    • 2020年11月26日 16:05
    • 蛇みたいなお尻の鶏はコカトリスかバジリスクか。
      石にされなくてラッキー。
    • 0
      occlut_soku

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    • 4. 名無しのオカルト
    • 2020年11月26日 16:20
    • 山怖好きなのに雷鳥の私物化が酷くて嫌い
      創作が見たいならプロの書いた本買って読むよ
      嘘か本当か分からないからネットの話は良いのに…創作だって明言するなら違う所で書けよ
      ほんと邪魔
    • 0
      occlut_soku

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      • 6. 名無しのオカルト
      • 2020年11月26日 23:09
      • >>4
        後期の雷鳥はもうクソコテとして嫌われてたからな
      • 0
        occlut_soku

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      • 8. 名無しのオカルト
      • 2020年11月28日 00:58
      • >>4
        雷鳥はあまりに体験談が多いし話がまとまりすぎていたから根拠もなく創作だと思っていたけど、中には実体験だと信じてる人もいたんだよな
        スレの中にポンポン小話入れてくるから邪魔だった
      • 0
        occlut_soku

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    • 5. 名無しのオカルト
    • 2020年11月26日 22:39
    • その尻尾は異様に長く

      ひょっとして「尾長鶏」
    • 0
      occlut_soku

      occlut_soku

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    • 7. 名無しのオカルト
    • 2020年11月27日 07:38
    • 長鳴鶏と尾長鶏のハーフ鶏じゃね?
      あと心の中を読まれるのはサトリ(悟)って妖怪かな?
    • 0
      occlut_soku

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