【短篇集】山の怖い話『月光に揺れる百合の花のような……』『人面果』『人マネ煙』【雷鳥】
146:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:38:11 ID: ID:r+qx/QXd0
153 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/20 22:15
知り合いの話。
仲間三人で夏山を縦走していた時のこと。
開けた場所を選んでテントを張った。
その野営地には、たくさんの白い百合の花が咲いていた。
真夜中、仲間一人が急に起き出したために、他の二人は目を覚まされた。
眠りを邪魔した仲間は、テントの床を這いずり回っていた。
何度呼びかけても返事がなく、やがて芋虫のように這い出ていったという。
開け放たれた入口から、百合の花が一輪ゆっくりと揺れているのが見えた。
二人が続いて外に出て見ると、月光の下で揺れていたのは百合ではなかった。
白く細い手が大地から突き出て、おいでおいでをして招いていた。
這いつくばった仲間を無理矢理テントに連れ戻し、まんじりともせず夜を越した。
翌朝、白い手は跡形もなく消えていた。
誘われた仲間は、昨夜のことをまるで覚えていなかったそうだ。
知り合いの話。
仲間三人で夏山を縦走していた時のこと。
開けた場所を選んでテントを張った。
その野営地には、たくさんの白い百合の花が咲いていた。
真夜中、仲間一人が急に起き出したために、他の二人は目を覚まされた。
眠りを邪魔した仲間は、テントの床を這いずり回っていた。
何度呼びかけても返事がなく、やがて芋虫のように這い出ていったという。
開け放たれた入口から、百合の花が一輪ゆっくりと揺れているのが見えた。
二人が続いて外に出て見ると、月光の下で揺れていたのは百合ではなかった。
白く細い手が大地から突き出て、おいでおいでをして招いていた。
這いつくばった仲間を無理矢理テントに連れ戻し、まんじりともせず夜を越した。
翌朝、白い手は跡形もなく消えていた。
誘われた仲間は、昨夜のことをまるで覚えていなかったそうだ。
オカ速おすすめ!
147:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:38:43 ID: ID:r+qx/QXd0
154 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/20 22:18
知り合いの話。
峠道を歩いていると、急に荷物が重くなったのだという。
ザックにはおかしいところは見当たらず、溜まった疲労が出たのかと不安になった。
休もうかなと考えながら歩いていると、道のすぐ横に沼が現れた。
何気なく水面を見、思わず目を疑った。
ほんの一瞬だが、荷物に何かがしがみついているのが映っていたのだ。
小柄で灰色な猿のような姿をしていたという。
次の瞬間、いきなり荷物が軽くなった。
振り向いても何も見えなかったが、小走りに遠ざかる足音だけは聞こえたそうだ。
以来、彼は山に入る時は御守りを持参するようにしている。
知り合いの話。
峠道を歩いていると、急に荷物が重くなったのだという。
ザックにはおかしいところは見当たらず、溜まった疲労が出たのかと不安になった。
休もうかなと考えながら歩いていると、道のすぐ横に沼が現れた。
何気なく水面を見、思わず目を疑った。
ほんの一瞬だが、荷物に何かがしがみついているのが映っていたのだ。
小柄で灰色な猿のような姿をしていたという。
次の瞬間、いきなり荷物が軽くなった。
振り向いても何も見えなかったが、小走りに遠ざかる足音だけは聞こえたそうだ。
以来、彼は山に入る時は御守りを持参するようにしている。
148:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:39:15 ID: ID:r+qx/QXd0
155 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/20 22:21
友人の話。
一人で山歩きをしていた時のこと。
休憩しようと荷物を降ろすと、背側に何かがくっついているのに気がついた。
まだあまり熟れていない、何かの果実のようだった。
薄気味の悪いことに、実の表皮にはまるで人の顔のような凹凸が浮き出ていた。
その口に見える部分で、ザックの紐に噛み付いていたらしい。
どこで取り付かれたのかは、まったく分からなかった。
物好きな彼は、人面に触る気がしなかったこともあって、その果実をつけたまま
山歩きを続けたそうだ。
二つ尾根を越えた所で、ボトリという落下音が聞こえた。
振り返ると、人面果が転がりながら、下生えの中に消えていくところだった。
ああやって生息圏を拡げている植物なのかな。
そう思ったのだそうだ。
友人の話。
一人で山歩きをしていた時のこと。
休憩しようと荷物を降ろすと、背側に何かがくっついているのに気がついた。
まだあまり熟れていない、何かの果実のようだった。
薄気味の悪いことに、実の表皮にはまるで人の顔のような凹凸が浮き出ていた。
その口に見える部分で、ザックの紐に噛み付いていたらしい。
どこで取り付かれたのかは、まったく分からなかった。
物好きな彼は、人面に触る気がしなかったこともあって、その果実をつけたまま
山歩きを続けたそうだ。
二つ尾根を越えた所で、ボトリという落下音が聞こえた。
振り返ると、人面果が転がりながら、下生えの中に消えていくところだった。
ああやって生息圏を拡げている植物なのかな。
そう思ったのだそうだ。
149:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:41:11 ID: ID:r+qx/QXd0
192 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/22 01:40
知り合いの話。
彼が高校の山岳部にいた頃の話。
ある山系を三泊四日で踏破するという予定で、夏季合宿に出かけた。
運悪く、初日の昼から濃いガスが出て、足元もろくに見えなくなったそうだ。
とりあえずガスを抜けようと思い、先導役の彼はひたすら前進したという。
途中で道が分からなくなり、どうしようかと悩んでいる時。
唐突に霧が切れ、眼下に見覚えのある小さな無人駅が見えた。
そこは最終日のゴール地点に定めていた場所だった。
四日で踏破する予定の距離を、彼らはわずか三時間と少しで達成していた。
OB会に出るたびにその時の話が持ち出されるそうだ。
皆、いまだに不思議でならないと言っている。
知り合いの話。
彼が高校の山岳部にいた頃の話。
ある山系を三泊四日で踏破するという予定で、夏季合宿に出かけた。
運悪く、初日の昼から濃いガスが出て、足元もろくに見えなくなったそうだ。
とりあえずガスを抜けようと思い、先導役の彼はひたすら前進したという。
途中で道が分からなくなり、どうしようかと悩んでいる時。
唐突に霧が切れ、眼下に見覚えのある小さな無人駅が見えた。
そこは最終日のゴール地点に定めていた場所だった。
四日で踏破する予定の距離を、彼らはわずか三時間と少しで達成していた。
OB会に出るたびにその時の話が持ち出されるそうだ。
皆、いまだに不思議でならないと言っている。
150:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:41:35 ID: ID:r+qx/QXd0
193 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/22 01:42
友人の話。
秋の山に一人でこもっていた時のことだ。
朝目を覚ますと、体が何かごわごわした物で覆われている。
慌てて身を起こすと、テントの中に茶色の物体がばらまかれた。
彼が寝ていた寝袋の中に、いつの間にか枯れ葉がぎっしりと詰め込まれていたのだ。
眠りにつく前には、枯れ葉などテントのどこにも無かったという。
不思議なことに、彼が野営したのは針葉樹林の中だったのだが、寝袋の中に入って
いたのは、すべて広葉樹の葉だったそうだ。
友人の話。
秋の山に一人でこもっていた時のことだ。
朝目を覚ますと、体が何かごわごわした物で覆われている。
慌てて身を起こすと、テントの中に茶色の物体がばらまかれた。
彼が寝ていた寝袋の中に、いつの間にか枯れ葉がぎっしりと詰め込まれていたのだ。
眠りにつく前には、枯れ葉などテントのどこにも無かったという。
不思議なことに、彼が野営したのは針葉樹林の中だったのだが、寝袋の中に入って
いたのは、すべて広葉樹の葉だったそうだ。
152:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:55:19 ID: ID:r+qx/QXd0
194 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/22 01:43
私の体験した話。
単独登山中に雨に降られた時のこと。
濡れるのを避けようと、せり出した岩の下で野営することにした。
真夜中に、バシャバシャという喧しい音で目が覚めた。
何者かがどしゃ降りの雨の中を歩き回っているらしい。
目の前で水飛沫が上がったが、足音の主の姿は見えなかった。
それは私の目の前を行ったり来たりし続けていた。
最初は恐ろしかったのだが、だんだんと鬱陶しくなったのを憶えている。
結局、その足音に追い立てられるような形で、私は岩場を出ることにした。
足音がついて来なくなった広場で、ようやく休むことができた。
帰ってきてから、その山系で大規模な崖崩れがあったと知った。
ちょうど私が山に入っていた時期だ。
最初に私が野営していた岩場が崩れたかどうかは、確認していない。
私の体験した話。
単独登山中に雨に降られた時のこと。
濡れるのを避けようと、せり出した岩の下で野営することにした。
真夜中に、バシャバシャという喧しい音で目が覚めた。
何者かがどしゃ降りの雨の中を歩き回っているらしい。
目の前で水飛沫が上がったが、足音の主の姿は見えなかった。
それは私の目の前を行ったり来たりし続けていた。
最初は恐ろしかったのだが、だんだんと鬱陶しくなったのを憶えている。
結局、その足音に追い立てられるような形で、私は岩場を出ることにした。
足音がついて来なくなった広場で、ようやく休むことができた。
帰ってきてから、その山系で大規模な崖崩れがあったと知った。
ちょうど私が山に入っていた時期だ。
最初に私が野営していた岩場が崩れたかどうかは、確認していない。
153:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:55:44 ID: ID:r+qx/QXd0
204 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/23 00:50
知り合いの話。
彼女が幼い頃、子ども会のキャンプに参加していた時のこと。
夕食の準備をしている皆の頭上に、白い煙が漂っていたそうだ。
彼女の目はそれに釘付けになった。
煙の中に隣家の小父さんの顔が浮かんでいたからだ。
見ているうちに、煙の顔はいろいろと移り変わっていった。
笑っている彼女の母親の顔や、何かしゃべっている知り合いの小母さんの顔。
怒っているような友達の父親の顔に、きょろきょろしている子ども会の会長さん。
どうやら、その場で働いている大人の表情を、一つ一つ真似しているようだった。
やがて煙の顔は、彼女に己の姿が見えていることに気がついたらしい。
見知らぬ男の顔になると、目線を彼女に向けウインクを一つした。
次の瞬間、煙は散り散りになって消えてしまった。
怪しい煙に気がついたのは、彼女一人だけだったそうだ。
知り合いの話。
彼女が幼い頃、子ども会のキャンプに参加していた時のこと。
夕食の準備をしている皆の頭上に、白い煙が漂っていたそうだ。
彼女の目はそれに釘付けになった。
煙の中に隣家の小父さんの顔が浮かんでいたからだ。
見ているうちに、煙の顔はいろいろと移り変わっていった。
笑っている彼女の母親の顔や、何かしゃべっている知り合いの小母さんの顔。
怒っているような友達の父親の顔に、きょろきょろしている子ども会の会長さん。
どうやら、その場で働いている大人の表情を、一つ一つ真似しているようだった。
やがて煙の顔は、彼女に己の姿が見えていることに気がついたらしい。
見知らぬ男の顔になると、目線を彼女に向けウインクを一つした。
次の瞬間、煙は散り散りになって消えてしまった。
怪しい煙に気がついたのは、彼女一人だけだったそうだ。
154:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:56:10 ID: ID:r+qx/QXd0
205 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/23 00:52
友人の話。
研究調査のため、一人でキャンプしていた時のこと。
夜中にラーメンでも作ろうと鍋を探していると、奇妙なことが起こった。
取ろうとした鍋が足を生やして、するすると歩き出したのだ。
よく見ると、何か猫みたいな小動物が鍋をかぶって歩いていたらしい。
本体を見てやろうと、手を伸ばして鍋を持ち上げた。
鍋の中は空っぽだった。
驚いている視界の隅に、足を覗かせた登山帽が逃げ出そうとするのが見えた。
慌てて帽子を取り押さえたが、やはり中には何もない。
顔を上げると、妙に膨らんだ上着がテントからトコトコ出て行くところだった。
急いで後を追ったが、テントの外には風に吹かれる上着だけが残されていた。
今にいたるも、あの時正体を確かめられなかったのが悔しいそうだ。
友人の話。
研究調査のため、一人でキャンプしていた時のこと。
夜中にラーメンでも作ろうと鍋を探していると、奇妙なことが起こった。
取ろうとした鍋が足を生やして、するすると歩き出したのだ。
よく見ると、何か猫みたいな小動物が鍋をかぶって歩いていたらしい。
本体を見てやろうと、手を伸ばして鍋を持ち上げた。
鍋の中は空っぽだった。
驚いている視界の隅に、足を覗かせた登山帽が逃げ出そうとするのが見えた。
慌てて帽子を取り押さえたが、やはり中には何もない。
顔を上げると、妙に膨らんだ上着がテントからトコトコ出て行くところだった。
急いで後を追ったが、テントの外には風に吹かれる上着だけが残されていた。
今にいたるも、あの時正体を確かめられなかったのが悔しいそうだ。
155:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 09:58:35 ID: ID:r+qx/QXd0
206 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/23 00:54
知り合いの話。
彼は小さい頃、山奥の小さな小学校に通っていたのだが、他の学校と合併するため
中学に上がる直前に廃校にされたのだそうだ。
彼の学年は五人しかいなかったが、皆で校庭の銅像に記念を残すことにした。
二宮尊徳の足首に、鉄釘で各々自分の名前を刻んだのだという。
先日、十何年ぶりに当時の同級生が村に集まった。
学校の跡地は森林公園になっており、銅像も少女の像に変わっていた。
昔話に花を咲かせていると、いきなり仲間の一人が像の足元で声を上げた。
彼の指差す先を見ると、見知らぬ像の足首にすり減った文字が刻まれていた。
彼ら全員の名前だった。
誰が名前を移し変えたのだろうか。
不気味だったが、同時にとても懐かしかったのだそうだ。
知り合いの話。
彼は小さい頃、山奥の小さな小学校に通っていたのだが、他の学校と合併するため
中学に上がる直前に廃校にされたのだそうだ。
彼の学年は五人しかいなかったが、皆で校庭の銅像に記念を残すことにした。
二宮尊徳の足首に、鉄釘で各々自分の名前を刻んだのだという。
先日、十何年ぶりに当時の同級生が村に集まった。
学校の跡地は森林公園になっており、銅像も少女の像に変わっていた。
昔話に花を咲かせていると、いきなり仲間の一人が像の足元で声を上げた。
彼の指差す先を見ると、見知らぬ像の足首にすり減った文字が刻まれていた。
彼ら全員の名前だった。
誰が名前を移し変えたのだろうか。
不気味だったが、同時にとても懐かしかったのだそうだ。
157:名無しのオカルト 2009/02/27(金) 10:05:00 ID: ID:r+qx/QXd0
463 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 03/12/31 16:49
先輩の話。
部活で冬山登山していた時のこと。
夕方から猛烈な吹雪となり、テントから一歩も出られない状況になった。
皆で身を寄せ合い、入り口を中からしっかりと閉めて就寝したのだという。
翌朝目が覚めて、外の様子を見ようとして驚いた。
テントの入り口が開かない。
仕方なく通風孔を破り広げて、そこから外に出た。
誰がやったのか、テントの入り口は外からしっかりと縛って止めてあった。
幸い天候が回復したので、急いで下山したそうだ。
先輩の話。
部活で冬山登山していた時のこと。
夕方から猛烈な吹雪となり、テントから一歩も出られない状況になった。
皆で身を寄せ合い、入り口を中からしっかりと閉めて就寝したのだという。
翌朝目が覚めて、外の様子を見ようとして驚いた。
テントの入り口が開かない。
仕方なく通風孔を破り広げて、そこから外に出た。
誰がやったのか、テントの入り口は外からしっかりと縛って止めてあった。
幸い天候が回復したので、急いで下山したそうだ。
引用元:∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
この記事へのコメント
コメント一覧 (1)
デスストランディングだ...。
>>154
たぶん狸
occlut_soku
がしました
コメントする