【短篇集】山の怖い話『時代遅れの一団』『無害な怪異には優しく』『心霊スポットバス』【雷鳥】

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185名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:15:08 ID: ID:r+qx/QXd0

788 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/13 00:41

知り合いの話。

とある目的で、入山が禁止されている山に入ったのだそうだ。
朝暗いうちに山に入り、午後には目的を達成して、帰り支度にかかった。
帰り道の下り坂途中で、背中へ視線を感じたのだという。

焦って振り返ると、後方の岩棚からこちらをじっと見ている一団があった。
時代遅れの服装をした、年齢もばらばらな登山者たちが彼を見ていた。
三十人ほどの集団は皆一様に無表情だったという。
まるで白黒写真のように、彼らには色が着いていなかった。

恐怖よりも先に危険を感じた彼は、その日の獲物をその場に置き、後ろも振り
返らず一気に下山したそうだ。
豊かな山っていうのは、やはり何か訳があるんだな。
そう彼は言っていた。




 

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186名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:15:32 ID: ID:r+qx/QXd0

789 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/13 00:42

友人の話。

仕事で山にこもっている時に長雨に祟られた。
雨天の中、遠くの岩山を見ていると、何か大きな影が岩壁から浮き出してきた。
それは山ほどもある好々爺の姿をしており、彼を見てにっこりと笑った。
仰天していると、すうっと透き通って消えたそうだ。

親方のところに報告すると次のように言われた。
ああ、ヒヨリさんが出たのか。じきに雨も止むな。
確かにそれからすぐ雨は止んだのだという。




187名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:15:54 ID: ID:r+qx/QXd0

790 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/13 00:45

友人の話。

釣り仲間に誘われて、夜釣りに出かけたのだという。
近場の山中に大きな湖があり、そこにボートを浮かべて釣りを始めた。
夜でも釣れるものなのだなと感心したそうだ。

湖の中ほどにかかった時、水音がしてボートが揺れた。
驚いて見回すと、ボートの縁にかかった白い手が見えた。
華奢な女性の右手で、水中から伸びていた。

凍りついた彼をよそに、仲間は慣れた手つきでゴムハンマーを取り出した。
そのまま船縁の指に振り下ろす。
鈍い音が聞こえると、手は水中に没していった。
金縛りの解けた彼が問いただすと、仲間は平然として答えた。

 時々出るけれど悪さはしないよ、気味が悪いから追い払うけど。
 怪我させるのも可哀想だから、ゴムハンマーで軽く叩いてるんだ。

彼らは夜明け近くまで、そのまま釣りを続けた。
手は現れなかったそうだ。




188名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:18:57 ID: ID:r+qx/QXd0

955 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/18 18:08

知り合いの話。

彼女がまだ学生の頃、家族で山小屋に泊まったのだという。
夕刻遅くに山小屋へ着き、荷物を降ろしている時のことだ。
突然、父親が手を休め、真っ暗な山頂をじっと見上げた。

 呼ばれたからちょっと行ってくる。すぐ帰るから。

父親はそう言って山を登っていこうとしたらしい。
荷降ろしを手伝ってくれていた、山小屋の同宿客がするどく叫んだ。

 行かせちゃ駄目だ! 帰って来られなくなるぞ。

皆で慌てて父親を引き止めに入ったが、彼は凄い勢いで抵抗した。
しばらく押さえていると、やがて我に返って静かになったそうだ。
父親には、暴れていた時の記憶は無かったという。




189名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:20:38 ID: ID:r+qx/QXd0

956 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/18 18:09

友人の話。

学生時代、山中で一人で野営をしていた時のこと。
食事をしながら、鼻歌を口ずさんでいた。
彼は自他ともに認めるほどの歌好きで、そのうち興が乗ってしまったらしい。
食事に箸をつけるのも忘れて、文字通り彼のワンマンショーが始まった。

歌い終わると同時に、近くの雑木林の中から拍手の音が響いた。
料理はとうの昔に冷めていたそうだ。




190名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:21:42 ID: ID:r+qx/QXd0

957 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/18 18:11

先輩の話。

一人で山歩きしていた時のこと。
その山はそれほど高さがなく緑豊かで、女性や子供の登山者も多かった。
緩やかな道を歩きながら、彼はすれ違う人たちと挨拶を交わしていた。
しかし峠を越えたあたりから、すれ違う人が皆彼を無視するようになった。
こちらから挨拶しても露骨に目をそらすのだ。
彼が訝しんでいると、中年の女性登山者が走りよって声高に言った。

 どうしたの、その怪我は?

その時初めて、彼は自分の掌が血まみれなのに気がついた。
慌てて確かめると、身体中が切り裂かれたかのように傷だらけで、血を吹いていた。
急に立ちくらみを起こし、病院に運ばれる騒動となった。

割と深い傷だったらしく、なぜか下着の下の皮膚まで傷を負っていたらしい。
不思議なことに少しも痛むことがなく、一晩のうちにすべて完治した。
いつの間にそんな傷ができたのか、彼にはまったく分からないということだ。




191名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:26:28 ID: ID:r+qx/QXd0

25 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/19 22:42

友人の話。

ハイキングコースを一人で歩いていた時のことだ。
その山は手頃な高さで、気分の良くなっていた彼女は何度もヤッホーと声を上げた。
何度目かのヤマビコが返って来た時、いきなり耳元で囁かれた。

 お願いだからもう少し静かにしてくれんかね。

びっくりした彼女はあたりを見回したが、誰一人として近くにはいない。
間違いなく老人の声だったという。
急に心細くなり、下山にかかったそうだ。




192名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:26:48 ID: ID:r+qx/QXd0

26 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/19 22:44

先輩の話。

仲間五人でキャンプした時のこと。
夕食を食べ終わった後、当然のように宴会が始まったそうだ。
皆したたかに酔ったらしい。

次の朝、宴会の後片づけを始めた彼らは、揃って首を傾げることになる。
焚き火の周りに残されていた食器類は、全部で六人分あったのだ。
記憶をたどると、確かに六人で騒いでいたことを皆が思い出した。
しかし六人目が誰だったかは、ついに思い出せなかったそうだ。




193名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:27:10 ID: ID:r+qx/QXd0

27 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/19 22:45

友人の話。

山中の曲がりくねった県道に、バスが廃棄されてある場所がある。
幽霊が出ると噂されていたが、友人はまったく信じていなかった。
彼は棄てたバス会社をよく知っていたし、そのバス自体が事故など何も起こして
いないというのだ。

そこで彼は仲間と深夜の肝試しに出かけたのだという。
バス内を荒らしまくったが、予想通り何も出ない。
さて帰ろうと、バスの外に出た時。
ぼろぼろのバスの上から、いくつもの無表情な顔が彼らを見下ろしていた。

慌ててその場から逃げ帰ったという。
後日調べると、バスのすぐ上の尾根にため池があり、そこで何人かが入水自殺を
していたことが分かった。
それって一種の引っ掛けだよなあ。
彼はいまだにそう言ってぼやいている。




194名無しのオカルト 2009/02/27(金) 18:29:13 ID: ID:r+qx/QXd0

28 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/19 22:48

先輩の話。

キャンプ場でテントを建てていると、新参のキャンパーが来たのだという。
なぜか彼らは傷だらけで、先輩たちを見て泣き出しそうな顔になった。
驚いて手当てにかかり事情を聞いた。

途中の山道で、蒼黒い大きな蝸牛の群れに襲われたのだという。
一度に何匹にもたかられて齧られ、生きた心地がしなかったのだと。
その蝸牛は南京ほども大きかったという。

先輩は後にも先にも、その山系でそんな目撃談を聞いたことは無いという。
しかし、彼らの血の滲む肌には、やすりで酷く擦ったような傷が確かに
ついていたそうだ。




引用元:∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
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この記事へのコメント

 コメント一覧 (2)

    • 1. 名無しのオカルト
    • 2020年12月06日 00:17
    • カタツムリの大きいのは実際にいそう
      でもヒルの大きいのかもしれない
    • 0
      occlut_soku

      occlut_soku

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    • 2. 名無しのオカルト
    • 2020年12月06日 16:49
    • 南京と聞いて南京豆が頭に浮かんだから
      なーんだカタツムリ小さいじゃんと思って…少ししてからカボチャの方の南京か?‼
    • 0
      occlut_soku

      occlut_soku

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