【ほんのり】警察密着番組で痴漢だとマークされている男に見覚えがあった。見慣れた男。そう「私」だった!
360: 見覚えのある男 01/09/17 02:04
その日、疲れた体を引きずって数日ぶりに私は帰宅した。
帰るといつもの癖で、テレビをつけると、シャワーを浴びにバスルームへむかった。
シャワーでさっぱりし、コーラを片手に部屋に戻ると、テレビでは、「犯罪都市24時!逮捕の瞬間」などというような番組が流れていた。
私は腰をおろすと、コーラを飲みながら、何気なくその番組をみはじめた。
テレビには、網棚かなにかに設置されたCCDカメラからの、満員電車の車内が写っていた。
どうやら、痴漢逮捕の瞬間を捕らえようとしているらしい。
聞き覚えのあるナレーターの声が聞こえた。
「A子さんは、毎日通勤列車の車内で、特定の男からの痴漢行為を受けていた。」
痴漢は、私の憎むべく犯行である。
(過去には、ふたり程、痴漢を警察に突きだした経験もある)
「いったい、どんな馬鹿な奴なんだろうか?」
私はテレビの画面を見据えた。
「どうやら、毎日同じ男からの痴漢行為を受けているらしく、彼女は、最寄りの池袋駅・鉄道警察隊に相談した。」
帰るといつもの癖で、テレビをつけると、シャワーを浴びにバスルームへむかった。
シャワーでさっぱりし、コーラを片手に部屋に戻ると、テレビでは、「犯罪都市24時!逮捕の瞬間」などというような番組が流れていた。
私は腰をおろすと、コーラを飲みながら、何気なくその番組をみはじめた。
テレビには、網棚かなにかに設置されたCCDカメラからの、満員電車の車内が写っていた。
どうやら、痴漢逮捕の瞬間を捕らえようとしているらしい。
聞き覚えのあるナレーターの声が聞こえた。
「A子さんは、毎日通勤列車の車内で、特定の男からの痴漢行為を受けていた。」
痴漢は、私の憎むべく犯行である。
(過去には、ふたり程、痴漢を警察に突きだした経験もある)
「いったい、どんな馬鹿な奴なんだろうか?」
私はテレビの画面を見据えた。
「どうやら、毎日同じ男からの痴漢行為を受けているらしく、彼女は、最寄りの池袋駅・鉄道警察隊に相談した。」
引用元: ・ほんのりと恐い話スレ、その3~~
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361: 見覚えのある男 01/09/17 02:05
池袋駅? なんと私の最寄り駅の隣だ。
話が、身近になった事でいっそう私の眼は、テレビに釘付けになった。
そしてA子さんは、数人の捜査員を伴い、いつもの通勤列車に乗り、にっくき痴漢野郎を、現行犯で捕まえる事となったのだった。
「A子さんは、いつも通り自宅そばの駅から、普段通りに列車に乗った。痴漢はいつも次の駅から乗り込み、終点の池袋までの一駅間で犯行に及ぶという。」
「…………。」
「いつも痴漢が乗り込むという駅に着いた。 一斉に乗客が乗り込んでくる。」
それは、見覚えのある駅だった…。
「一人の大柄の男が、A子さんの傍に立った。捜査員に緊張が走る。」
テレビには、ネイビーブルーのワイシャツを着た大柄の男が写っていた。
直ぐさま、その男とA子さん、それとそれを取り囲む捜査員に、テロップの矢印があらわれ(→ こんなの)、三者の位置関係が表示された。
私は、その痴漢であろうとマークされている男に見覚えがあった。
毎日、毎晩、自宅の鏡に写る、見慣れた男。
そう、 「私」 だった!
話が、身近になった事でいっそう私の眼は、テレビに釘付けになった。
そしてA子さんは、数人の捜査員を伴い、いつもの通勤列車に乗り、にっくき痴漢野郎を、現行犯で捕まえる事となったのだった。
「A子さんは、いつも通り自宅そばの駅から、普段通りに列車に乗った。痴漢はいつも次の駅から乗り込み、終点の池袋までの一駅間で犯行に及ぶという。」
「…………。」
「いつも痴漢が乗り込むという駅に着いた。 一斉に乗客が乗り込んでくる。」
それは、見覚えのある駅だった…。
「一人の大柄の男が、A子さんの傍に立った。捜査員に緊張が走る。」
テレビには、ネイビーブルーのワイシャツを着た大柄の男が写っていた。
直ぐさま、その男とA子さん、それとそれを取り囲む捜査員に、テロップの矢印があらわれ(→ こんなの)、三者の位置関係が表示された。
私は、その痴漢であろうとマークされている男に見覚えがあった。
毎日、毎晩、自宅の鏡に写る、見慣れた男。
そう、 「私」 だった!
362: 見覚えのある男 01/09/17 02:05
一瞬にして、「観客」から「当事者」に立場の変わってしまった私は、今ここにいる自分とテレビに中の自分の異なる旅場に、思考回路は大混乱を始めていた。
「頼むから、なにもしないでくれ~っ。」
気が付くと、訳の分からないことを口走っている。
そんな私の願いもよそに、画面上の私に捜査員がじりじりと詰め寄ってくる。
痴漢されたた瞬間、A子さんから合図があり、それにあわせて捜査員が一斉に犯人を取り押さえる手はずらしい。
「奴がいつもA子さんに、痴漢行為を働く、にっくき痴漢なのだろうか?」
「ち、ちがう、ちがう!」
「挙動不審の男の行動を確認するため、捜査員がゆっくりと近寄っていく。」
「きょ、挙動不審?…。」
そして捜査員が、ついにA子さんと私をぐるりと取り囲んだ。
混乱と、怒りが混じる私の目の前で、ナレーションはいっそう大きく続ける。
「奴は、いつ犯行に及ぶのか?男の一挙手一投足に捜査員の緊張が、最高に張りつめたその瞬間!!」
「ええっつ! まさかっ…?!」
363: 見覚えのある男 01/09/17 02:06
「池袋~ 池袋~ 終点池袋で~す。」
列車は駅に到着。
ドアの開いた瞬間、捜査員が私の横の男を捕まえると、
他の乗客に気づかれないよう取り囲み、連行していったのだった!
「犯人現行犯逮捕!」
ナレーターは叫んだ。
私は、ぐっしょりと濡れた手のひらの汗を拭いながら、訪れた安心感に、
ほっと胸をなでおろしていた。
とりあえず、自分の身の潔白が証明されたことと、テレビの中の自分に
間違いがなかったこと、そしてこの悪夢のような全国放送がとりあえず、
私でない犯人逮捕で終わることに……。
テレビでは、犯人逮捕を受け、痴漢コーナーの締め括りが語られていた。
「捜査員が捕まえたのは、マークしていた大柄の男ではなく、その隣に
立っていたやせた小柄の男だった。その後の取り調べの結果、犯人はその日
たまたま痴漢をしたものと判明。いつもA子さんを苦しめている 痴漢とは別人
とわかった。捜査員は、今後も痴漢撲滅のためA子さんの周囲を警備、
挙動不審者逮捕にむけて捜査を続けている……。」
「おいおい! それじゃぁ、私が犯人って決めつけてないか?(怒)」
列車は駅に到着。
ドアの開いた瞬間、捜査員が私の横の男を捕まえると、
他の乗客に気づかれないよう取り囲み、連行していったのだった!
「犯人現行犯逮捕!」
ナレーターは叫んだ。
私は、ぐっしょりと濡れた手のひらの汗を拭いながら、訪れた安心感に、
ほっと胸をなでおろしていた。
とりあえず、自分の身の潔白が証明されたことと、テレビの中の自分に
間違いがなかったこと、そしてこの悪夢のような全国放送がとりあえず、
私でない犯人逮捕で終わることに……。
テレビでは、犯人逮捕を受け、痴漢コーナーの締め括りが語られていた。
「捜査員が捕まえたのは、マークしていた大柄の男ではなく、その隣に
立っていたやせた小柄の男だった。その後の取り調べの結果、犯人はその日
たまたま痴漢をしたものと判明。いつもA子さんを苦しめている 痴漢とは別人
とわかった。捜査員は、今後も痴漢撲滅のためA子さんの周囲を警備、
挙動不審者逮捕にむけて捜査を続けている……。」
「おいおい! それじゃぁ、私が犯人って決めつけてないか?(怒)」
365: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 01/09/17 02:43
まったり。良かったよ>>360
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コメント一覧 (1)
occlut_soku
がしました
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