引用元: ・ほんのりと怖い話スレ、その10
147: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/02/19 23:37
それはある蒸し暑い夏の日のことだった。
その日は、家族の誰もが口を開くことはなく、いつも陽気なおふくろが特に沈んで
見えた。
「おふくろ、いったいどうしたんだよ、そんなに沈んじまって」
「……」
「なんで無視するんだよ。まったく」
親父や妹に話しかけても返事は帰ってこなかった。
「どうなってんだ、いったい?」
その日は、家族の誰もが口を開くことはなく、いつも陽気なおふくろが特に沈んで
見えた。
「おふくろ、いったいどうしたんだよ、そんなに沈んじまって」
「……」
「なんで無視するんだよ。まったく」
親父や妹に話しかけても返事は帰ってこなかった。
「どうなってんだ、いったい?」
しかし、今日はなぜか体の節々が痛む。
「あの程度のドライブで疲れがたまるとはなぁ。俺も歳かな」
などと、思いながら遅い朝食をとろうとダイニングに足を向けたその時、ふと気付
いた。昨日の記憶が曖昧なことを。
確かドライブで遠出し、少し道に迷って城下町を見渡せる小高い丘のドライブイン
で休憩をとったところまでは覚えている。
だが、その後の記憶がない……なぜだろう。
「このところ残業が続いたからきっと疲れているのだろう」
と自分に言い聞かせようとしたが、得体の知れない不安感は少しも晴れなかった。
そうこうするうち、今度は頭も痛くなってきた。これでは食事どころではない。自
分の部屋に戻って少し眠ることにした。
148: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/02/19 23:38
「あの程度のドライブで疲れがたまるとはなぁ。俺も歳かな」
などと、思いながら遅い朝食をとろうとダイニングに足を向けたその時、ふと気付
いた。昨日の記憶が曖昧なことを。
確かドライブで遠出し、少し道に迷って城下町を見渡せる小高い丘のドライブイン
で休憩をとったところまでは覚えている。
だが、その後の記憶がない……なぜだろう。
「このところ残業が続いたからきっと疲れているのだろう」
と自分に言い聞かせようとしたが、得体の知れない不安感は少しも晴れなかった。
そうこうするうち、今度は頭も痛くなってきた。これでは食事どころではない。自
分の部屋に戻って少し眠ることにした。
148: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/02/19 23:38
ウトウトとし始めた頃だろうか、
「おーい、たけしーーっ」
「お兄ちゃんーーーっ」
と、誰かが耳元で俺の名前を呼んでいる。
「……ったく誰だよ、うるせーなぁ、人がいい気持ちで眠ってるのに」
目を開けると、そこには親父とおふくろ、妹が涙ぐみながら俺の顔をのぞき込んで
いた。俺は、口に人工呼吸器の管を装着され、そして、全身を包帯でグルグル巻き
にされて病院のベッドの上に横たわっていた。そして、傍らにいた白衣を着た医師
らしき人物が、僕に言った。
「よく頑張りましたね。峠は越えました。もう大丈夫ですよ」
「えっ?」
俺は事態が飲み込めなかった。
ドライブ、全身の痛み、頭痛、ドライブイン……記憶の断片を辿りながら、やっと
事の次第に思い至った。
「そうだ、俺は事故ったんだ……俺は今まで夢を見ていたのか」
「おーい、たけしーーっ」
「お兄ちゃんーーーっ」
と、誰かが耳元で俺の名前を呼んでいる。
「……ったく誰だよ、うるせーなぁ、人がいい気持ちで眠ってるのに」
目を開けると、そこには親父とおふくろ、妹が涙ぐみながら俺の顔をのぞき込んで
いた。俺は、口に人工呼吸器の管を装着され、そして、全身を包帯でグルグル巻き
にされて病院のベッドの上に横たわっていた。そして、傍らにいた白衣を着た医師
らしき人物が、僕に言った。
「よく頑張りましたね。峠は越えました。もう大丈夫ですよ」
「えっ?」
俺は事態が飲み込めなかった。
ドライブ、全身の痛み、頭痛、ドライブイン……記憶の断片を辿りながら、やっと
事の次第に思い至った。
「そうだ、俺は事故ったんだ……俺は今まで夢を見ていたのか」
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149: 147 03/02/19 23:39
三日後、何とか喋られるようになった俺は、そばにいた看護婦に話しかけた。
「あのー、すいません。家族の者に会いたいんですけど……」
すると、その看護婦は急に顔を曇らせ哀感の表情を浮かべたかと思うと、やがて意
を決したように僕に告げた。
「あなたのご家族は……全員亡くなられました」
「……?」
「あなたとご家族は四人でドライブの途中、事故に遭い、あなただけが助かったの
です。ほかの皆さんは残念ながら……」
後で事故処理を担当した警察官に事情を聞いたところ、丘にあるドライブインから
国道に出た直後、大型トラックと衝突し、俺たち家族四人が乗っていた車は丘の上
から転落。幸い俺だけが一命を取り留めたということだ。
「では、俺が見た親父やおふくろ、妹の姿はいったい……」
「あのー、すいません。家族の者に会いたいんですけど……」
すると、その看護婦は急に顔を曇らせ哀感の表情を浮かべたかと思うと、やがて意
を決したように僕に告げた。
「あなたのご家族は……全員亡くなられました」
「……?」
「あなたとご家族は四人でドライブの途中、事故に遭い、あなただけが助かったの
です。ほかの皆さんは残念ながら……」
後で事故処理を担当した警察官に事情を聞いたところ、丘にあるドライブインから
国道に出た直後、大型トラックと衝突し、俺たち家族四人が乗っていた車は丘の上
から転落。幸い俺だけが一命を取り留めたということだ。
「では、俺が見た親父やおふくろ、妹の姿はいったい……」
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