385: 245 2007/09/07(金) 22:36:53 ID:mp6qCgoU0
彼は罪人だった。
盗みを働いたのか、姦淫を犯したのか、魔女狩りなのか、
理由は分からないがとにかく彼は罪人だった。
舞台は中世のヨーロッパ。
縄でしばられとぼとぼと引き立てられていく彼を、
沿道の庶民たちが哀れむような、面白がるような、嘲るような視線で見つめる。
聞くに堪えない罵詈雑言も投げかけられる。
だがそれも仕方がない。だって彼は罪人なのだから。
空気は蒸し暑く、石畳から照り返す陽射しが彼を苛立たせる。
どれぐらいこうしているのか。いったいいつまで歩かせるつもりなのか。
俺をどこに連れて行くつもりなのか。
その答えは、本当は彼も知っていた。でも信じたくはなかった。
やがて彼方に、断頭台が見えてきた。
(つづく)
盗みを働いたのか、姦淫を犯したのか、魔女狩りなのか、
理由は分からないがとにかく彼は罪人だった。
舞台は中世のヨーロッパ。
縄でしばられとぼとぼと引き立てられていく彼を、
沿道の庶民たちが哀れむような、面白がるような、嘲るような視線で見つめる。
聞くに堪えない罵詈雑言も投げかけられる。
だがそれも仕方がない。だって彼は罪人なのだから。
空気は蒸し暑く、石畳から照り返す陽射しが彼を苛立たせる。
どれぐらいこうしているのか。いったいいつまで歩かせるつもりなのか。
俺をどこに連れて行くつもりなのか。
その答えは、本当は彼も知っていた。でも信じたくはなかった。
やがて彼方に、断頭台が見えてきた。
(つづく)
387: 245 2007/09/07(金) 22:39:25 ID:mp6qCgoU0
ああ、やっぱり。俺はここで死ぬんだろうか。
人々は彼をギロチンの下に引き据えた。
死を待つ間、彼が何を考えていたのかは分からない。
死にたくない死にたくないと念じていたのかもしれない。
死刑執行人は、重たげな斧を振り上げ、ロープに打ち降ろした。
がっちりと首を固定された彼には見えないが、
その瞬間ギロチンの刃が滑り降りた。
死にたくない!死にたくない!
うなじに物凄い衝撃を感じ、彼は・・・目覚めた。
ベッドの傍らには、
本棚から滑り落ちたと思しき一冊の分厚い本が転がっていた。
「偶然落ちてきた本が俺の首に当たった。
だからあんな夢を見た。
つまりさ、
俺が見た長い夢は全部、
本がぶつかってから、俺が覚醒するまでの
コンマ何秒かの間に創りあげられたものだったんだ。
俺は、そう思う」
人々は彼をギロチンの下に引き据えた。
死を待つ間、彼が何を考えていたのかは分からない。
死にたくない死にたくないと念じていたのかもしれない。
死刑執行人は、重たげな斧を振り上げ、ロープに打ち降ろした。
がっちりと首を固定された彼には見えないが、
その瞬間ギロチンの刃が滑り降りた。
死にたくない!死にたくない!
うなじに物凄い衝撃を感じ、彼は・・・目覚めた。
ベッドの傍らには、
本棚から滑り落ちたと思しき一冊の分厚い本が転がっていた。
「偶然落ちてきた本が俺の首に当たった。
だからあんな夢を見た。
つまりさ、
俺が見た長い夢は全部、
本がぶつかってから、俺が覚醒するまでの
コンマ何秒かの間に創りあげられたものだったんだ。
俺は、そう思う」
引用元 : 不可解な体験、謎な話~enigma~Part40
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