http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1264751456/
55: 本当にあった怖い名無し 2010/01/31(日) 13:28:43 ID:fXy0MD5bi
「ピントが合わない」
11月7日土曜日、紅葉がきれいと評判らしい、◯◯公園へ出かけた。
メンバーはいつものとおり、SさんとK。
Sさんと会社の最寄り駅で待ち合わせ、そこから電車でニ駅。現地でKと合流する。
人は思ったよりも少なく、まずはひと通り回っていい場所を探し、ビニールシートを敷いて持ち寄った弁当を広げた。
早速大口を開けておにぎりにかぶりつくSさんに、シャッターチャンスと見た俺が自前のコンパクトデジタルカメラを向ける。
「ちょ、ちょっとやめてよ、今のはなし、なしよ」
カメラを奪おうとするSさんをガードしながら、液晶に画像を表示させる。
「ありゃ、手ぶれだ」
画面の左半分に、Sさんのご尊顔がブレブレになって写っていた。
「いや、違う。後ろの枝にピントが合ってる。手ぶれじゃい、ピンボケだよ」
横から覗き込んでいたKが言う。
さすがはカメラマニアというところか。
Sさんにはそれ以上の撮影を拒否された。
仕方がないからKなんかを撮りながら楽しく昼食を過ごす。
(続く)
11月7日土曜日、紅葉がきれいと評判らしい、◯◯公園へ出かけた。
メンバーはいつものとおり、SさんとK。
Sさんと会社の最寄り駅で待ち合わせ、そこから電車でニ駅。現地でKと合流する。
人は思ったよりも少なく、まずはひと通り回っていい場所を探し、ビニールシートを敷いて持ち寄った弁当を広げた。
早速大口を開けておにぎりにかぶりつくSさんに、シャッターチャンスと見た俺が自前のコンパクトデジタルカメラを向ける。
「ちょ、ちょっとやめてよ、今のはなし、なしよ」
カメラを奪おうとするSさんをガードしながら、液晶に画像を表示させる。
「ありゃ、手ぶれだ」
画面の左半分に、Sさんのご尊顔がブレブレになって写っていた。
「いや、違う。後ろの枝にピントが合ってる。手ぶれじゃい、ピンボケだよ」
横から覗き込んでいたKが言う。
さすがはカメラマニアというところか。
Sさんにはそれ以上の撮影を拒否された。
仕方がないからKなんかを撮りながら楽しく昼食を過ごす。
(続く)
56: 55 2010/01/31(日) 13:31:05 ID:fXy0MD5bi
(続き)
午後も見て回ろうとなった時、さっきのミスショットがどうにも残念に思えて、カメラを構えて
「Sさん、いい?」
と言ってみた。
「いいけど?」となんとなくポーズを取ったSさんに、カメラを向ける。
Sさんがファインダーの中央に来るように構えて、今度は慎重にシャッターを半押しする。
しかしピントが合わない。いつもならすぐに現れる緑のカーソルが表示されず、レンズの駆動音がいつまでも止まない。ピントを合わせようと行ったり来たりしているようだ。
また横からKが顔を出して来た。
「何やってるの?」
「いやわかんない」
Sさんもきょとんとした顔でこっちを見ている。
「やれやれ、これだから安物はいけませんなぁ」
そう言いながらKは、首からぶら下げているデジタル一眼レフカメラを構える。
ははーん、こいつSさんにいいとこ見せたいんだな。俺にはどうにも見当外れに思えたが、黙って一歩下がってやった。
(続く)
午後も見て回ろうとなった時、さっきのミスショットがどうにも残念に思えて、カメラを構えて
「Sさん、いい?」
と言ってみた。
「いいけど?」となんとなくポーズを取ったSさんに、カメラを向ける。
Sさんがファインダーの中央に来るように構えて、今度は慎重にシャッターを半押しする。
しかしピントが合わない。いつもならすぐに現れる緑のカーソルが表示されず、レンズの駆動音がいつまでも止まない。ピントを合わせようと行ったり来たりしているようだ。
また横からKが顔を出して来た。
「何やってるの?」
「いやわかんない」
Sさんもきょとんとした顔でこっちを見ている。
「やれやれ、これだから安物はいけませんなぁ」
そう言いながらKは、首からぶら下げているデジタル一眼レフカメラを構える。
ははーん、こいつSさんにいいとこ見せたいんだな。俺にはどうにも見当外れに思えたが、黙って一歩下がってやった。
(続く)
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57: 55 2010/01/31(日) 13:32:53 ID:fXy0MD5bi
(続き)
KはそのままSさんにカメラを向けたものの、なかなかカメラから顔を外そうとしない。そのうちレンズを手で回し始め、一歩進んだり二歩下がったり、あさっての方向にカメラを向ける。
挙句すぐ横にいる俺の方へカメラを向けたところで、さすがに声をかける。
「おい、いい加減にしろよ」
Kが真っ青な顔をして俺に顔を近づけてくる。
「おかしい、Sさんだけピントが合わない」
「なんだよ、お前のカメラも大した事ないな」
「そうじゃない、周りの樹やお前の顔にはピントが合う。Sさんだけ、オートフォーカスでもマニュアルでも、どうやってもピントが合わない。レンズとミラーとプリズムを通した像、純粋に光学的な像のピントが合わないんだ」
「なんなんだよ、それ。そんな事あり得るのかよ」
「分からない。こんな話聞いた事もない。ああ、くそこれ見ろよ」
Kがカメラの液晶を指し示す。
そこには美しく紅葉した樹木を背景に、Sさんの全身像が写っていた。ただしSさんだけが、左右に素早く動いたようにブレていた。よく見るとブレの大きいところと小さいところが交互に細かく繰り返されて、横縞のようになっている。
「まさかさっきのも・・・」
俺は自分のカメラに、さっきのミスショットを表示させる。
単純にピンボケだと思ったSさんの顔は、予想どおり禍々しい横縞に覆われていた。
「そうか、Sさんにピントを合わせられないから、自動で後ろの樹に合わせたのか」
Kが一人うなずく。
「どうしたのよ?」
いつの間にか側にいたSさんに声をかけられて、慌てて俺たちはカメラを隠した。
「なによ見せてよ」
Sさんがカメラに手を伸ばすが、Kは懸命にそれを拒む。
「何かあるのね。見せて。見せて欲しいの」
急に迫力の増したSさんに、Kもしぶしぶとカメラの液晶を見せた。
「・・・!!」
さすがに絶句したSさん。俯くと絞り出すような声で言った。
「消して、消してお願い!」
結局このまま解散となった。
帰り道、俺一人で彼女を送る間、ひと言も声をかける事ができなかった。
(続く)
KはそのままSさんにカメラを向けたものの、なかなかカメラから顔を外そうとしない。そのうちレンズを手で回し始め、一歩進んだり二歩下がったり、あさっての方向にカメラを向ける。
挙句すぐ横にいる俺の方へカメラを向けたところで、さすがに声をかける。
「おい、いい加減にしろよ」
Kが真っ青な顔をして俺に顔を近づけてくる。
「おかしい、Sさんだけピントが合わない」
「なんだよ、お前のカメラも大した事ないな」
「そうじゃない、周りの樹やお前の顔にはピントが合う。Sさんだけ、オートフォーカスでもマニュアルでも、どうやってもピントが合わない。レンズとミラーとプリズムを通した像、純粋に光学的な像のピントが合わないんだ」
「なんなんだよ、それ。そんな事あり得るのかよ」
「分からない。こんな話聞いた事もない。ああ、くそこれ見ろよ」
Kがカメラの液晶を指し示す。
そこには美しく紅葉した樹木を背景に、Sさんの全身像が写っていた。ただしSさんだけが、左右に素早く動いたようにブレていた。よく見るとブレの大きいところと小さいところが交互に細かく繰り返されて、横縞のようになっている。
「まさかさっきのも・・・」
俺は自分のカメラに、さっきのミスショットを表示させる。
単純にピンボケだと思ったSさんの顔は、予想どおり禍々しい横縞に覆われていた。
「そうか、Sさんにピントを合わせられないから、自動で後ろの樹に合わせたのか」
Kが一人うなずく。
「どうしたのよ?」
いつの間にか側にいたSさんに声をかけられて、慌てて俺たちはカメラを隠した。
「なによ見せてよ」
Sさんがカメラに手を伸ばすが、Kは懸命にそれを拒む。
「何かあるのね。見せて。見せて欲しいの」
急に迫力の増したSさんに、Kもしぶしぶとカメラの液晶を見せた。
「・・・!!」
さすがに絶句したSさん。俯くと絞り出すような声で言った。
「消して、消してお願い!」
結局このまま解散となった。
帰り道、俺一人で彼女を送る間、ひと言も声をかける事ができなかった。
(続く)
58: 55 2010/01/31(日) 13:34:13 ID:fXy0MD5bi
(続き)
ここまでが今朝、俺がパソコンの中から見つけたドキュメントファイルの内容だった。
このファイルは、俺が書き溜めている小説を保存するフォルダに、11月8日2:07の作成日で置いてあった。
全く身に覚えのない内容だった。
今、11月8日、日曜日。午前十時を少し回ったところだ。
昨日は確かに紅葉を見に行った。大学時代からの親友、加藤の撮影趣味に付き合って。しかし行ったのはこの二人だけでだ。ドキュメントにあるKが加藤だとして、Sさんとは誰だ?
携帯電話を取り出すと、加藤に電話をかけてみる。
しかし不在通知。
電話を切ると連絡先一覧を見てみる。
イニシャルがSの人、女性の名前で登録している人。皆全て顔を思い浮かべることができた。そしてここにあるSさんではないと確信が持てた。
携帯のメールも見てみるが、憶えのないものはなかった。
次にコンパクトデジカメの保存画像を表示してみる。昨日撮影した紅葉の写真が続き、昼食を食べる加藤の写真なんかもあった。
しかしSさんらしい女性の写真は一枚もなかった。
念のためファイル名を確認するが、自動的に付けられた連続した数字のファイル名は、順番に見ても途中で欠けてはおらず、ファイルを消去した痕跡はなかった。
(続く)
ここまでが今朝、俺がパソコンの中から見つけたドキュメントファイルの内容だった。
このファイルは、俺が書き溜めている小説を保存するフォルダに、11月8日2:07の作成日で置いてあった。
全く身に覚えのない内容だった。
今、11月8日、日曜日。午前十時を少し回ったところだ。
昨日は確かに紅葉を見に行った。大学時代からの親友、加藤の撮影趣味に付き合って。しかし行ったのはこの二人だけでだ。ドキュメントにあるKが加藤だとして、Sさんとは誰だ?
携帯電話を取り出すと、加藤に電話をかけてみる。
しかし不在通知。
電話を切ると連絡先一覧を見てみる。
イニシャルがSの人、女性の名前で登録している人。皆全て顔を思い浮かべることができた。そしてここにあるSさんではないと確信が持てた。
携帯のメールも見てみるが、憶えのないものはなかった。
次にコンパクトデジカメの保存画像を表示してみる。昨日撮影した紅葉の写真が続き、昼食を食べる加藤の写真なんかもあった。
しかしSさんらしい女性の写真は一枚もなかった。
念のためファイル名を確認するが、自動的に付けられた連続した数字のファイル名は、順番に見ても途中で欠けてはおらず、ファイルを消去した痕跡はなかった。
(続く)
59: 55 2010/01/31(日) 13:35:30 ID:fXy0MD5bi
(続き)
ここまでして少し冷静になってみた。
このドキュメントは昨日の出来事を元にしたフィクションだろう。
よる遅くに作って、すぐに寝たから忘れたんだろう。あるいは酒でも飲んで書いたのかもしれない。普段飲まないだけにどんな酔い方をするか予測がつかない。
俺は思わず苦笑し、ドキュメントファイルを閉じた。
と、そこにパソコンのメールが届いた。
送り主は加藤だった。
また例によって昨日の撮影の成果を送ってよこしたんだろう。
大抵ファイルサイズが大きく、数も多いのでいい迷惑だった。
メールを開けると、メッセージが一行だけ。
『これ、何だと思う?』
画像ファイルが三枚添付してある。
嫌な気分になりながら開けると、果たして、紅葉を背景にして中央にブレたヒトガタが写っていた。
他の二枚も構図が若干違うだけで同じようにブレた何かを写していた。
よく見ると細かい横縞が入っている、先のドキュメントの内容と一致する光景だった。
あのドキュメントの内容は事実だというのか?
(続く)
ここまでして少し冷静になってみた。
このドキュメントは昨日の出来事を元にしたフィクションだろう。
よる遅くに作って、すぐに寝たから忘れたんだろう。あるいは酒でも飲んで書いたのかもしれない。普段飲まないだけにどんな酔い方をするか予測がつかない。
俺は思わず苦笑し、ドキュメントファイルを閉じた。
と、そこにパソコンのメールが届いた。
送り主は加藤だった。
また例によって昨日の撮影の成果を送ってよこしたんだろう。
大抵ファイルサイズが大きく、数も多いのでいい迷惑だった。
メールを開けると、メッセージが一行だけ。
『これ、何だと思う?』
画像ファイルが三枚添付してある。
嫌な気分になりながら開けると、果たして、紅葉を背景にして中央にブレたヒトガタが写っていた。
他の二枚も構図が若干違うだけで同じようにブレた何かを写していた。
よく見ると細かい横縞が入っている、先のドキュメントの内容と一致する光景だった。
あのドキュメントの内容は事実だというのか?
(続く)
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60: 55 2010/01/31(日) 13:36:51 ID:fXy0MD5bi
(続き)
だとすれば、最大の疑問が。
Sさんとは誰なのだ?
そこでふと閃いた。
メールソフトに並んでいる保存フォルダ。その中のdeleteフォルダを表示させる。
過去に削除したメールの一覧が表示される。ほとんどがメーリングリスト、ダイレクトメールの類いだ。
『◯◯特価セール・・・』
『××からのお知らせ・・・』
『今日の△△・・・』
念のために一つひとつメールの内容も確認していったが、過去三ヶ月の範囲で期待したものは見つからなかった。
ここでdeleteフォルダの下にspamフォルダがあるのに気づく。
このパソコンでメールを読み込む時は、セキュリティソフトの機能で、スパムメールを自動的にspamフォルダに隔離することを思いだした。
spamフォルダを開いて先程と同じように内容を確認していく。
そのうちの一つ、題名と送り主が文字化けしているメールを広げると、以下のようなメッセージが。
『地図のアドレス送るよ。印刷よろ さとみ』
メッセージに貼られたリンクを広げると、地図のサイトが立ち上がる。そこに置かれたアンカーは、まさに昨日行った公園を指し示していた。
(続く)
だとすれば、最大の疑問が。
Sさんとは誰なのだ?
そこでふと閃いた。
メールソフトに並んでいる保存フォルダ。その中のdeleteフォルダを表示させる。
過去に削除したメールの一覧が表示される。ほとんどがメーリングリスト、ダイレクトメールの類いだ。
『◯◯特価セール・・・』
『××からのお知らせ・・・』
『今日の△△・・・』
念のために一つひとつメールの内容も確認していったが、過去三ヶ月の範囲で期待したものは見つからなかった。
ここでdeleteフォルダの下にspamフォルダがあるのに気づく。
このパソコンでメールを読み込む時は、セキュリティソフトの機能で、スパムメールを自動的にspamフォルダに隔離することを思いだした。
spamフォルダを開いて先程と同じように内容を確認していく。
そのうちの一つ、題名と送り主が文字化けしているメールを広げると、以下のようなメッセージが。
『地図のアドレス送るよ。印刷よろ さとみ』
メッセージに貼られたリンクを広げると、地図のサイトが立ち上がる。そこに置かれたアンカーは、まさに昨日行った公園を指し示していた。
(続く)
61: 55 2010/01/31(日) 13:38:11 ID:fXy0MD5bi
(続き)
よし、見つけた!
思わず拳に力が入る。
過去三ヶ月で「さとみ」からのメールは二十通程度だった。
彼女は俺の会社の同期で同じ部署、よく一緒に遊ぶメンバーに入っているようだった。違う会社の加藤にも俺が引き合わせたみたいで、加藤に同時送信したメールもあった。
「さとみ」の恋愛相談も受けており、全く知らない女性の悩みに、俺が答えているのを読むのは不思議な感覚だった。
もはやSさんがさとみさんであることは間違いなかった。
そして恐ろしいことに彼女は消えてしまっている。
俺や加藤の記憶、携帯やデジカメのデータから。
しかし彼女は痕跡を残すことに成功した。それが彼女の意思によるものかは分からないが。
携帯やデジカメは消したデータが残らないので完全に消えたのだろうか。
一応念のためにデジカメをパソコンに接続した。
新しいフォルダが出来ているかもと思ったが、見つからなかった。
ついでなので、デジカメ内の画像データをパソコン内のいつも入れる保存先にコピーした。
するとファイル名が変わった。
連続した数字のファイル名だったはずが、途中で何度も数字を飛ばし、結果的に最後のファイル名は携帯のものより4多い数字になった。
欠番が四つもできたのだ。
これは削除された画像ファイルと考えてよかった。
しかし全く腑に落ちなかった。何故パソコンにコピーしただけでファイル名が戻ったのか?
(続く)
よし、見つけた!
思わず拳に力が入る。
過去三ヶ月で「さとみ」からのメールは二十通程度だった。
彼女は俺の会社の同期で同じ部署、よく一緒に遊ぶメンバーに入っているようだった。違う会社の加藤にも俺が引き合わせたみたいで、加藤に同時送信したメールもあった。
「さとみ」の恋愛相談も受けており、全く知らない女性の悩みに、俺が答えているのを読むのは不思議な感覚だった。
もはやSさんがさとみさんであることは間違いなかった。
そして恐ろしいことに彼女は消えてしまっている。
俺や加藤の記憶、携帯やデジカメのデータから。
しかし彼女は痕跡を残すことに成功した。それが彼女の意思によるものかは分からないが。
携帯やデジカメは消したデータが残らないので完全に消えたのだろうか。
一応念のためにデジカメをパソコンに接続した。
新しいフォルダが出来ているかもと思ったが、見つからなかった。
ついでなので、デジカメ内の画像データをパソコン内のいつも入れる保存先にコピーした。
するとファイル名が変わった。
連続した数字のファイル名だったはずが、途中で何度も数字を飛ばし、結果的に最後のファイル名は携帯のものより4多い数字になった。
欠番が四つもできたのだ。
これは削除された画像ファイルと考えてよかった。
しかし全く腑に落ちなかった。何故パソコンにコピーしただけでファイル名が戻ったのか?
(続く)
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63: 55 2010/01/31(日) 13:40:25 ID:fXy0MD5bi
(続き)
もう一度考えてみる。
最初、パソコンの中から昨日の出来事を記したドキュメントファイルを見つける。
携帯、デジカメには痕跡なし。
加藤がメールで痕跡の残る画像を送ってくる。
メールのspamフォルダからさとみさんとのメールの痕跡を見つける。
デジカメのデータをパソコンにコピーすると、画像が削除された痕跡が見つかる。
・・・すべての痕跡は俺のパソコンから見つかっている。
俺はもう一度加藤に電話をする。
「おーさっきは悪い、コンビニ行ってた」
「ああ、それより、さっき俺のパソコンの方にメール送ったよな?」
「メール?送ってないよ。今日はまだパソコンも立ち上げてないし」
「え?昨日撮った画像はどうした?」
「ああ、昨日のうちにチェックしたぜ。きれいなもんだ。さすが俺だな」
「変なもの写ってなかったか?」
「変なもの?今のお前以上に変なものか」
「ああ、まあいいわ。なぁ、さとみさんて知ってるか?」
「誰だそれ?大丈夫か?お前本当に変だぞ」
「ああ、いや大丈夫。悪かったな」
じゃあな、と言ってなんとか電話を切る。
これでほぼ間違いない。
さとみさんの痕跡は、俺のパソコンの中にだけ残っている。
だが何故?
そこにパソコンへメールが届く。
(続く)
もう一度考えてみる。
最初、パソコンの中から昨日の出来事を記したドキュメントファイルを見つける。
携帯、デジカメには痕跡なし。
加藤がメールで痕跡の残る画像を送ってくる。
メールのspamフォルダからさとみさんとのメールの痕跡を見つける。
デジカメのデータをパソコンにコピーすると、画像が削除された痕跡が見つかる。
・・・すべての痕跡は俺のパソコンから見つかっている。
俺はもう一度加藤に電話をする。
「おーさっきは悪い、コンビニ行ってた」
「ああ、それより、さっき俺のパソコンの方にメール送ったよな?」
「メール?送ってないよ。今日はまだパソコンも立ち上げてないし」
「え?昨日撮った画像はどうした?」
「ああ、昨日のうちにチェックしたぜ。きれいなもんだ。さすが俺だな」
「変なもの写ってなかったか?」
「変なもの?今のお前以上に変なものか」
「ああ、まあいいわ。なぁ、さとみさんて知ってるか?」
「誰だそれ?大丈夫か?お前本当に変だぞ」
「ああ、いや大丈夫。悪かったな」
じゃあな、と言ってなんとか電話を切る。
これでほぼ間違いない。
さとみさんの痕跡は、俺のパソコンの中にだけ残っている。
だが何故?
そこにパソコンへメールが届く。
(続く)
65: 55 2010/01/31(日) 13:42:33 ID:fXy0MD5bi
(続き)
題名、空欄。送り主、さとみ。
メールを開くとメッセージは何もない。
動画ファイルが一つ添付されている。
そのファイルを広げる。
最初真っ暗な画面。
やがて中央に縦に長い白いもやが現れる。
輪郭がはっきりして来て、それが人だと分かる。
しかしそれは左右にブレていて、ブレは細い縞状に連なっていた。
それの右手がゆっくりと前に突き出される。
『ミツケテ クレタネ 。 ネエ コッチ キテクレルヨネ?』
彼女はそういうと確かにニッコリと笑った。
ああ全てを思い出した。さとみさんだ。さとみさんは確かに実在した。
そして思い出す。
おととい金曜日の夜十時ごろ、会社の給湯室でさとみさんとコーヒーを飲んでいた時。
「なんとか今日で区切り付けられそうだね」
「まーな、でも来週から違う奴がきつくなってくるし、本当消えてしまいたいよ」
「消えたいの?」
とさとみさんが顔を覗き込んでくる。
「じゃあ、一緒に消えちゃおうか?」
いたずらっぽい眼をしてくる
「いやーやっぱやめとく。いっぺんに二人も消えたらマネージャーがショック死するぜ」
「確かに」
背を向けてコーヒーを飲む。
「ねぇ、タカハシくんて覚えてる?同じ部署にいた」
「タカハシ?いったっけそんな人」
仕事で頭が一杯だったから気にしなかったが、あの時すでに始まっていたんだ。
(続く)
題名、空欄。送り主、さとみ。
メールを開くとメッセージは何もない。
動画ファイルが一つ添付されている。
そのファイルを広げる。
最初真っ暗な画面。
やがて中央に縦に長い白いもやが現れる。
輪郭がはっきりして来て、それが人だと分かる。
しかしそれは左右にブレていて、ブレは細い縞状に連なっていた。
それの右手がゆっくりと前に突き出される。
『ミツケテ クレタネ 。 ネエ コッチ キテクレルヨネ?』
彼女はそういうと確かにニッコリと笑った。
ああ全てを思い出した。さとみさんだ。さとみさんは確かに実在した。
そして思い出す。
おととい金曜日の夜十時ごろ、会社の給湯室でさとみさんとコーヒーを飲んでいた時。
「なんとか今日で区切り付けられそうだね」
「まーな、でも来週から違う奴がきつくなってくるし、本当消えてしまいたいよ」
「消えたいの?」
とさとみさんが顔を覗き込んでくる。
「じゃあ、一緒に消えちゃおうか?」
いたずらっぽい眼をしてくる
「いやーやっぱやめとく。いっぺんに二人も消えたらマネージャーがショック死するぜ」
「確かに」
背を向けてコーヒーを飲む。
「ねぇ、タカハシくんて覚えてる?同じ部署にいた」
「タカハシ?いったっけそんな人」
仕事で頭が一杯だったから気にしなかったが、あの時すでに始まっていたんだ。
(続く)
67: 55 2010/01/31(日) 13:43:32 ID:fXy0MD5bi
(続き)
俺はそっとコンパクトデジカメを手に取ると、腕いっぱい伸ばしてレンズをこちらに向ける。
そしてシャッターを半押しする。
デジカメがピントを合わせようとするが、レンズの駆動音は鳴り止むことがなかった。
(終)
俺はそっとコンパクトデジカメを手に取ると、腕いっぱい伸ばしてレンズをこちらに向ける。
そしてシャッターを半押しする。
デジカメがピントを合わせようとするが、レンズの駆動音は鳴り止むことがなかった。
(終)
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