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怖い話

【オカルト】やこ山で聞いた謎の唸り声、寺の棺を暴いた友人に起きたのは…

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洒落怖384から。かなりの長編だけど、構成が丁寧で最後まで飽きさせない一本。
625: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:41:02.83 ID:bt+EQQQp0
3月21日。休みに入って一週間が経ったころです。
その日もいつものように田岡という友人の家に集まり、
ゲームをしながら過ごしてると、田岡がこう切り出します。
「俺たちはいつも家でゲームばっかだ。」
「高校生になるんだから少しくらい外の世界を知ってても良いんじゃないか?」
と言い出します。

するともう一人の友人、藤井が「じゃあさ、やこ山に行ってみるか」と返しました。
このやこ山というのが、自転車を使えば5分ほどで麓に着くほどの身近な山
なのですが、道が整備されておらず、いかにも物々しい雰囲気の為、
地元では誰も寄り付かない、危険な山として認知されていました。

そんな山に藤井が行こうというので田岡は「え~」といった嫌そうな顔を
していましたが、私としてはちょっと興味を引かれたので
「まあ危なそうなら引き返せばいいだろう」と言って田岡を説得し、
3人でやこ山に行くことにしました。昼の12時に麓に到着し、さあ今から登るか、
というところで藤井が口を開きます。

「今から入るにあたってルールを設けよう」
「一つは、日が落ちる前に山を出ること」
「もう一つは、危険を感じたら必ず引き返すこと。この2つだ。いいな?」
と言って確認を取ります。

引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?384

626: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:41:57.30 ID:bt+EQQQp0
田岡と私はそれに同意していよいよ山を登っていきます。
一応山頂を目指して歩いていくのですが、整備されていないその山道は思ったよりも
険しく、当時中3だった我々には少しきつかったのを覚えています。

山を登り始めて1時間たったころ、足が痛くなってきて「一回休憩しよう」というと
藤井は「いやまだいけるだろ」と言ってくるのですが田岡もちょうど
疲れていたらしく「いや頼む、一回休ませてくれ」と言ってくれたので
「わかった仕方ないな。少し休憩するか」といって近くにあった少し大きめの石を
椅子代わりにして腰を据えます。

すると田岡が話し始めます。
「カイト(俺)さ、好きな女の子いなかったっけ?告白できたの?」
突然の質問に面を食らっていると藤井が
「え!?マジ!?いたの??誰よ!?」と詰め寄ってきます。

実は私には同じ部活に好きな同級生の女の子がいたのですが
結局告白する勇気が出せず、そのまま卒業していました。
「いや、無理やった」というと田岡が「お前マジ根性ねぇな」と言ってきました。
「いや、だから誰なんだよ!」藤井が詰め寄ってきます。

627: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:42:23.15 ID:bt+EQQQp0
私が答えあぐねていると田岡が
「カイトが入ってた部活に同級生の女の子が一人だけいたやろ?そいつだよ」
と答えてしまい「あー!おい!!言うなよ!」とすぐ返したのですがもう遅く、
そこから藤井の「どこが好きなん?」「連絡先交換したの?」
「このままでいいのか?」と怒涛の質問攻めが始まり完全に参っていると突如

「オーオ…」という声の様なものが様中に響き渡りました。
それは少し低く、動物の鳴き声の様な、男の叫び声のようにも聞こえました。
思わず3人とも周りをパッと見渡します。しかし何の気配もありません。
時計を見ると時刻は13時半。まだ日も落ちていませんが最初に決めたルール。
「少しでも危険を感じたら必ず引き返すこと」に従ってその日は
下山することにし、そのまま解散となりました。

この出来事こそ、最悪の後悔の始まりでした。

628: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:43:20.32 ID:bt+EQQQp0
次の日、3人で田岡の家に集まると話題は直ぐに昨日聞いた「あの声」になります。

「あの声?なんやったんやろうね?」と藤井に聞くと「熊じゃない?」と返され、
人だと思った俺は「いや、男っぽかったくない?」と聞き返しますが、
そこで田岡が割って入り、「実は昨日気になって、やこ山について調べたんよね」
と言い出します。

田岡によると、親に聞いても、ネットで調べても
全く情報が出てこなかったので、近くの公民館に行き、地元が出している機関紙や、
本など、やこ山に関する資料を調べまくったらしく、
その時に見つけたかなり古びた日誌に、とある村の伝承が書いてあったそうで、
そこから大体の見当がついたとのことでした。

今から約300年前、私たち3人が休憩をとったあの場所には昔やんこ村と呼ばれた
村があったそうです。当時江戸幕府中期だったころで、京保の大飢饉がおこり、
悪天候により作物は育たず、わずかに残った物にも虫が湧いて
食べられなくなったりといったありさま。俺の住んでる福岡県全体でみると、
わずか2年の内に30万人中、10万人もの死者を出す大飢饉だったとのこと。

629: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:44:03.91 ID:bt+EQQQp0
そんな中やんこ村でも死者が続出。元々50人ほどいた村人は20人まで減少。

更には食い扶持を減らすために、
生まれて間もない子供や老人を川に流していたそうです。

しかし、それでも不作には抗えず苦しんでいた村民達が話し合い、
山を下りて少し離れた所にある寺に行き、
「どうすればこの苦境を乗り越えることができるか?」
と住職に相談しようということになりました。

そこで村の村長が寺に赴きそこの住職を訪ねると5尺ほどの、
今で言う150cmほどの縦長で大きな箱を渡されたそうで、
住職にある決め事を言い渡されます。

・この箱を壊したり、開けたりしてはいけない。
・この箱を持ち帰り、誰か一人の村民の家に置くこと。
・必ず毎晩虫の湧いていない奇麗な稲穂を一つお供えする。
・7日毎にこの箱を別の村民の家に置く。
・全ての家に行き渡った後、最後に村長の家で
7日間稲穂のお供えをして、その箱を燃やす。

630: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:44:35.73 ID:bt+EQQQp0
そうして、村長はその箱を持ち帰ることにした様です。
言いつけ通りに村で実行し、一人目、二人目と順調に箱が家を渡るにつれ、
徐々に天候の良い日が続いたり今まで沸いていた虫が少なくなったりと状況が好転。
ですが、恐らくこのころ村民たちが油断をし始めた。

数件周ったあと、村長の家に周るよりも前に一人の村民が稲穂の
お供えを忘れてしまった。
すると一転して冷夏と呼ばれる夏にも関わらず気温が低い状態が続き、
一気に作物が育たなくなる事態が発生した。

慌てた村長が寺に行き、状況を説明します。
すると住職は「こうなってはもう遅いが解決方法が一つあります」と説明。
その内容は以前渡した箱に村で一番偉い村長が入り、
その中で死ぬまで食べることも飲むこともせず過ごし、
亡くなった後に箱ごと、この寺にお供えして天の許しを請うというものでした。

村長は恐怖に駆られたそうですが、このままでは村は全滅する恐れも
あり、自分の家族を守るためにもやるしかないと腹をくくったそうです。

631: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:45:15.84 ID:bt+EQQQp0
村に戻り寺で聞いたことを皆に説明し、いよいよ村長が入ることになります。
しかし、箱を開けようとするのですが一面を釘で頑丈に留められており、
なかなか空きません。やっとの思いで、箱を開けると中から白骨化した
死体が出てきたそうで、以前にも同じ過ちを犯した者がいたことが察せられます。

そして村長が中へ入り、釘でもう一度留めなおします。
それから何日か経ち、中から返事が返ってこなくなったころ、
村民たちは寺へその棺となった箱を渡しに行きます。

すると住職が大きなカゴの様な桶に水を張り、その中に箱を入れます。
そして下から火を焚きます。
住職が言います「これで肉体は燃えませんが魂は焼かれて天へと献上され、
神の怒りも静まることでしょう」村民たちはその一言に安堵したようですが、
水が煮え立つと箱の中から叫び声が聞こえ、ばたばたと震え始めます。

632: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:45:40.94 ID:bt+EQQQp0
どうやら村長はまだ生きていたようですが、住職は悲しい顔をしたまま動かず、
村民が助けようとするとそれを制止して「終わるまで待ちなさい」と一言。

そして叫び声が消え、箱の動きがピタリと止まると
「これでもう終わりです。作物もまた育つでしょう」と言って
村民たちを返したそうです。

それから間もなく京保の大飢饉も終わり、やんこ村の人口も回復したそうですが、
ときおり寺の方から低く唸るような声が聞こえてきたそうで、それを気味
悪がった村民たちが一人、また一人と村を離れ、気づけば村は無くなってしまった。

という伝承が、その日誌に書かれてあったそうです。

そしてここまで私たちに説明してくれた後、田岡は耳を疑う衝撃の事実を明かします。

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633: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:46:28.77 ID:bt+EQQQp0
なんと、「この話に出てくる寺が今もある」というのです。
しかも、その寺というのが毎年お祭りを開催しており、
俺たちも毎年遊びに行く、本当によく知っている寺でした。
さらにその祭りの開催日を2日後に控えているという状況でした。

田岡は「2日後の祭りに、この寺に忍び込もう」と言ったのですが、
流石にまずいと思った俺は
「いや、それはやばい。もし見つかったらどうする?」と返しました。
しかし、田岡はどうしても「あの声」の正体が気になって仕方がありません。
あまりにも必死になって説得してくるので私も藤井も観念して、
「わかったじゃあ作戦を立てよう」と言って忍び込むことになりました。

ここで、その時立てた作戦を説明します。
目標は、日誌に登場した棺を見つけること。

作戦決行はお祭りが終わって人が帰った後、
住職たち職員が油断しているであろうタイミングを見計らって忍び込む。
しかし、万が一見つかりそうになった時の為に、寺の入り口に一人おとりを残し、
そのおとりがわざと見つかって住職たちの気を引き、その隙を狙って
残りの二人が中へ侵入するというものです。

634: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:47:30.29 ID:bt+EQQQp0
※迷惑やったら教えてな。
とりあえず続き書き込んで行く。

作戦が決まると、問題は誰がこのおとりをやるか?という話に移ります。
藤井が「田岡は目が良い。だから寺の中がもし暗くても棺を見つけられるかも
しれない。となると俺かカイトだが、俺はカイトより足が遅い。
だからカイトがおとりになるのが良い」と言いました。

しかし、俺だって折角なら中に入りたいわけです。
そこで何度か3人で話し合いをしましたが、
やはりどう説明しても結局藤井の案が一番良いだろうということになり、
結局俺がおとり役になってしまいました。

そしてお祭り当日、俺たち3人は毎年の様にお祭りに参加し、
屋台のカステラや焼き鳥を食べ、
広場で行われる猿回しなんかを見て楽しんでいました。
そうこうしているうちに日も落ちて終わりが近づいてきます。
客がパラパラといなくなり始めたのを見て田岡が「よし、行くぞ」と声を掛けます。

635: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:48:31.10 ID:bt+EQQQp0
田岡と藤井が本堂の脇にある植木に身を潜め、
私が寺の入り口にある階段付近に隠れます。

住職たちが屋台の撤収が終わったのを見て、
各々職員たちが熊手や箒を持って境内の掃除を始めます。
10分ほどジッと待っていると本堂前を掃除していた住職が別の所を掃除しようと
場所を移しました。すかさず藤井が田岡を引っ張り小声で「行くぞ」と
言って本堂へ突入します。

そして扉を開け中へ入り私の方へ眼をやり、
「そこで待っていてくれ」とジェスチャーを送るとそのまま扉を閉めました。

そこからしばらく、私は二人が出てくるのを待つことになります。
途中住職たちが境内を行ったり来たりするので
見つからないように息を殺していました。

だけど流石に長すぎてイライラがピークに。
「まだかよ」と思っていたところで目を疑う光景を見てしまいました。

掃除が終わった住職が本堂入り口の扉に歩み寄り、
軽く中を確認するとそのまま鍵を閉め、立ち去ってしまったのです。

思わず体を出しそうになりましたが、
見つかってしまったらどうなるか分かりません。

636: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:49:20.74 ID:bt+EQQQp0
やばいと思って色々と考えを巡らせていると本堂の扉が少し動きました。
どうやら二人が中から出ようとしているらしいのですが、鍵が掛かって開きません。
すると持っていたガラケーが振動します。開くと藤井からのメールで
「扉が開かない。まだそこにいるか?」という内容でした。
俺は「住職がカギを締めた、まだいるけど、どうすることもできなかった。ごめん。」と返しました。

するとまたメールが来て「わかった、別の出口を探すからまだ待っていてくれ。」
と返信が来ました。時刻はもう21時を過ぎていました。

この後本気で驚いたのですが、5分ほど待っていると突然背中から
「何をしている?」と声を掛けられバッと後ろを見るとそこには
さっきの住職が立っており、頭が真っ白になりました。

住職の手が私の腕を掴もうとすると後ろから「カイト!!」と叫び声が聞こえハッと
我に返り、声のした方に首を振ると藤井と田岡が本堂から出てきていました。

しかし、それと同時にその声を聞いた職員たちが何事かとゾロゾロと集まってくる
気配がします。それを感じた田岡が「逃げるぞ!!」と言い放ち、
目の前にいる住職を無視して一目散に寺から逃げました。

637: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:50:00.06 ID:bt+EQQQp0
後ろから大人たちの怒号が聞こえましたが、それを振り切るように必死に
自転車をこぎます。そうして気づけば俺たち3人はそれぞれの家へと帰っていました。
顔が青くなっていたのか、帰った途端に親から
「何かあったのか?」と心配されましたが、当然言えるはずもなく、
「別に」といってそのまま風呂に入り、その日は寝ました。

翌朝、目を覚ますと藤井と田岡それぞれからメールが来ていました。
「今日田岡の家にあつまろう」ということでした。
急ぎ、支度を済ませて田岡の家へ向かいます。中には何があったのか?
日誌にあった箱は見つかったのか?俺たちの正体はバレたのか?
色々な思いと考えが胸や頭を駆け巡ります。

そうして田岡の家に着くと既に藤井は到着しており、
田岡の部屋で二人して待っていました。
俺が「どうだった?何があった?見つかったのか?」と質問すると
藤井が私をなだめるように「落ち着け」と言って、
二人はそこで全てを話してくれました。

638: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:50:55.55 ID:bt+EQQQp0
今から話すことは田岡と藤井から聞いた話で、
あの二人は普段から俺をビビらせようと驚かしてくるようなタイプだったので、
もしかすると多少話を盛ってある可能性もあります。
ですがとにかく、今ここで話すのは全てあの寺に隠された秘密の話です。

あの夜、藤井が俺の方へ目線を向けてジェスチャー送り、
本堂入り口の扉を閉めた後、中は真っ暗で何も見えなかったそうです。
そこで当時持っていた子供携帯という名前のガラケーがあったのですが、
それをポケットから取り出しライトを点けてあたりを探索したそうです。

すると本堂の正面奥に仏壇があり、大きな仏像が祀られていたそうなんですが、
その左手奥に扉があり、鍵が開いていたのでそのまま入って、
その部屋の中央に視線を送ると、なんと「あの箱」が横倒しで置いてあったそうです。
そこで近づいてよく見てみると鎖でグルグル巻きにされていたようですが、
何年も前に巻かれていたのか、この鎖が錆びまくっていて衝撃を加えれば
切れてしまいそうなほど細っていたそうです。

639: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:52:25.07 ID:bt+EQQQp0
しかし箱自体は大きさからしてちょうど日誌に登場したものと同じ。
二人は、「まさに、あのやんこ村の箱に違いない」と直感したそうです。
そこで田岡と藤井は興奮して舞い上がり、
この箱の写真をガラケー撮ったそうです。

ちなみにこの写真は俺も見ました。
画面中央に箱が横たわっていてその右前に田岡が立ってピースしてるという、
見るからに「盛り上がってんなこいつら」という写真でした。

そして、写真を撮ったということで藤井は「証拠もとれたし帰ろうや」と
戻ろうとするのですが、それを田岡が引き止め、
なんと「開けてみようや」と言い出します。

さすがの藤井もそれはマズいと言って止めますが、
この田岡が「ここまで来ておいて中身を見らずに帰れるかよ」
と言って全く言うことを聞きません。

「そこまで帰りたいなら一人で帰れば?」とまで言ってきます。
すると藤井が「わかったよ、そこまで言うなら俺もやる」
「一人より二人の方が安全だろ?」と言って仕方なく箱を開けることになります。

しかし箱は鎖で巻かれています。
とはいえ錆で細っているので何かで叩けば切れるのでは?ということで周囲を
探していると、田岡が仏壇によくある「おりん」。これを叩くバチを見つけてきます。
それを持って箱の前で構える田岡、それを携帯のライトで照らす藤井。

640: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:53:10.25 ID:bt+EQQQp0
そして田岡が鎖めがけてバチを振りかざしたらしいのですが、
この時狙いが外れてなんと鎖ではなく箱自体を叩いてしまい、
この箱自体も脆くなっていたのか「バキ!」と鳴って穴をあけてしまったそうです。

ヤバッと2人とも思わずその場に固まったそうなんですが
藤井が向けていたライトがその穴の中をわずかに照らしていて、
箱の中身を田岡が見てしまいます。するとミイラ化したような人間の、
胸のあたりが見えてしまったそうで、田岡が発狂しそうになります。

それを感じ取った藤井がすかさず駆け寄って田岡の口をグッと塞ぎます。
すると田岡が「ンー!!!」と言いながら箱の穴を指さし、
藤井も気になってライトで照らして見てしまったそうです。

そこには、ほぼ骨だけなんですが所々僅かに人の皮が残っていて、
鼻を衝く悪臭とお香の様な匂い放つ死体があったそうです。
この時2人は「バクバクと爆音で鳴る自分の心臓が、印象に残っている」と
話していました。それから2人はゆっくりと、徐々に落ち着きを取り戻します。

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641: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:53:39.08 ID:bt+EQQQp0
すると今度は「この箱をどうするか?」という問題が頭に浮かんできます。
箱はもう穴が開いてもとには戻せない。かと言ってこのままだと
絶対にマズい。いろいろ考えたそうなんですが、
結果藤井が「箱をひっくり返して穴を隠すしかない」と言い、

「マジ!?」と田岡としては持ちたくないなと思ったそうなんですが
他に良い案もなく、二人で箱の両端を抱え、ゆっくりとひっくり返し、
穴を床に向けて箱を置きなおした。

それから、「もう出ないと」ということで2人は
本堂から抜け出そうとします。周囲に誰もいないことを確認して小部屋を出て、
入ってきた扉に手を掛けますが鍵が掛かって開きません。
そこで私とメールのやり取りをした後別の出口を探すことになります。
その後なんとか脱出し、寺の入り口側に行くと
住職に捕まった俺を見つけて、思わず藤井が「カイト!!」と叫んでしまいます。

642: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:54:26.07 ID:bt+EQQQp0
そのおかげで住職が一瞬気を取られ、手を振りほどいた俺はそのまま逃げ、
藤井と田岡もその住職が呆気に取られているうちに脇を抜けて走り去って
行ったそうです。

これがこの日の結末です。

ですが実は、俺はこの日の出来事を完全に忘れていました。
その後に起こったことがトラウマになって、記憶が欠落していたんです。

あの事件から数年。3人は別々の進路に行き、それぞれの道を歩んでいました。
その後私は会社員となり、26歳になったある日、中学校の同窓会に呼ばれます。
そこには懐かしい面々が揃っており、あの藤井も参加していました。
そこで俺は藤井から中三の春休みの話を聞き、
忘れてはならない大事な結末を、全て思い出しました。

643: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:55:22.09 ID:bt+EQQQp0
俺たちが寺から必死に逃げ出した次の日、藤井の体に異変が起きます。

朝から体が怠く、熱を測るとなんと40度の高熱。
すぐさま病院に連れて行かれたそうですが、インフルでもなく、
また、色々と調べるのですが全くの原因不明。

地元の病院ではダメだということで
少し離れた大学病院にも連れて行かれたそうなのですが、
そこでも原因を特定できず、八方塞がりになってしまいます。
病院側から処方された解熱剤を服用しても一向に熱は下がらず、
日が経つに連れて熱だけではなく足や手の指が段々と赤みを
帯びて腫れあがってきたそうです。

そこで藤井はしかたなく両親にあの夜の出来事を
話したそうなんですが、この時の藤井は男前で、寺事件の直後に田岡と話し合い
「寺に入ったのは俺たち2人だけだ、だからカイトがいたことは内緒にしよう」と
約束していたらしく、両親に話すときも私がいたことを黙ってくれていたそうです。

話を聞いた両親は翌朝、藁にも縋る思いで近くの神社へと藤井を連れて行き、
そこでお祓いを受けさせようとします。

644: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:56:35.12 ID:bt+EQQQp0
しかし、神社へ向かう道中、
その神社に近づけば近づくほど息が苦しくなります。

更に、体の腫れもどんどん大きく、酷くなっていき、
「流石に死を覚悟した」と言っていました。

何とか意識を飛ばさないように堪えていると、
やっと神社にたどり着きます。
急いで両親が藤井を車から出すと神主さんが慌てた様子で表から出てきて、
藤井を見るなり、
「今からすぐ対処しますので、客室で待たれていてください」と
言って両親を中へ案内します。

あとから神主に聞いた話によると、
藤井達家族がこの神社に近づいていることが、鋭い悪寒と共に
伝わってきたとのことでした。そして藤井と神主は別の場所に行き、
「少し記憶が曖昧だけど本殿の方へ案内されたはず」と言っていました。

645: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:57:24.35 ID:bt+EQQQp0
そこで部屋の中央で藤井は寝かされ、
神主がご神体の方を向き何か祝詞の様なものを
唱えていたそうです。

所謂、お祓いの儀式が始まると一気に全身が沸騰したように
熱くなります。あまりの苦しさに藤井が思わず「ガアア!!と」叫ぶと、
神主さんが「苦しいのは効いている証拠、もう少しの辛抱です」と言ってきます。

それからは全身火で焼かれたように熱くなったり、真冬の海に入れられたかの
様に寒くなったり、頭を万力で擦り潰されるような痛みが襲ってきたと言います。

何度も襲い掛かってくる拷問の様な苦しさに藤井は耐え切れず、
そのまま気を失ってしまいます。

それからしばらくして、
どのくらいの時間が経ったのか、
藤井が目を覚ますとそこには神主と両親がいました。

646: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:58:04.28 ID:bt+EQQQp0
先程いた本殿から場所を移し別の場所で寝かされていたそうですが、
起きてみると体が随分と軽くなり、
全身に広がっていた腫れも無くなっている事に気づいたそうです。

その様子を見た神主さんが安心したように
ホッと溜息をつくと、今回の事について説明を始めてくれたそうです。

神主さんが言うには神社で行う「お祓い」とは本来、霊を払うものではなく
その人自身が持っている穢れや罪を浄化して、
元の神聖な状態にすることを差すのだそうで、
今回藤井君自身には霊は取りついておらず、
あの箱の中にいた霊が放った気による霊障だったとのことでした。

647: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:59:00.08 ID:bt+EQQQp0
なので今回はお祓いによってその霊障を剥がし、
気を浄化することで対処したそうです。

しかし憑りつかれてもいないのに霊障だけで
これほどの影響を及ぼすものは珍しく、
もし霊本体が憑りついていたら、どうすることもできなかった。
と言われたそうです。

そこまで説明を聞いたとき、藤井はとても嫌な予感がしたそうです。
その後、両親が神主さんにお礼を言って、その日は帰ることにします。
神社を出るともうすっかり夜になっていました。

家についてすぐ、藤井が田岡の家に電話を掛けます。
この時、田岡はまだ自分用の携帯を持っていませんでした。
すると田岡の母親が電話に出てくれて、
「ちょうど良かった。明日直接話したいことがあるので、来てほしい」と
言われたそうです。

648: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 18:59:33.55 ID:bt+EQQQp0
次の日、田岡の家に行くと母親はおらず、
代わりに父親が明るく出迎えてくれたそうです。
その後リビングに案内されるとそこで、「昨日妻が言ってたことだけどね」と
言って話し始めました。

田岡家では、毎週近くの「○〇の湯」という銭湯に行ってサウナを楽しむ
習慣がありました。寺の箱事件から一日経った次の日も、そのサウナの日でした。

まだ明るい昼の事、平日に入ったこの銭湯には客がおらず、
2人の貸し切り状態でした。父親は田岡と一緒に男風呂に入り、
同じ浴槽でまず疲れを取っていました。

そこで田岡が我慢できなかったのか父親に先日「やこ山」で
聞いた不気味な声や、その山にまつわる村の伝承を話して来たそうです。

649: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:00:09.47 ID:bt+EQQQp0
すると父親は、息子の口から聞くその話が面白かったらしく、
興味深々で聞いていたそうなんですが、それが嬉しかったのか田岡は、
遂に話すつもりが無かった昨夜の出来事まで話してしまいます。

それを聞いたとき、父親は少し怒りそうになったらしいのですが
「まあ、お父さんも若いころは色々やったもんだよ」と言い
「だがもうやめとけよ?あとお母さんには絶対言うなよ?」
と言って笑って許したそうです。

そんな会話した後、そろそろ行こうかと言って
2人はサウナに入ります。

20分ほど入って体を温め、出てすぐ水風呂に入り外気浴。
これを4回ほど繰り返したあと、最後にするかと言ってサウナに入ると
サウナ室の中にあるTVに田岡が夢中になってしまいます。

650: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:01:27.73 ID:bt+EQQQp0
20分ほど経って父親が「もう出るぞ」と田岡を連れ出そうとしますが、
田岡は「もうちょっと」と言って出ようとしません。

「そうか」と言って父親は先に出たそうなんですが、
扉を閉めたその時、地震が発生します。
と言ってもこの時の揺れは震度3にも満たない小さな地震。

少しだけ驚いたそうですが、なんてことはなかったそうで、
そのまま水風呂に入ります。

しかし、その判断が後に父親を後悔させます。
水風呂にも満足し、そろそろ外気浴にするかと思ったころ、
まだ息子が出てこないことを心配した父親は扉越しにサウナの様子を見ます。

しかし、蒸気が立って中が良く見えません。
仕方なく、扉に手をかけて開けようとするのですが何故か扉が開きません。

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651: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:02:17.00 ID:bt+EQQQp0
「おかしい」と思って扉をよく見ると、
扉が歪んでロックされていました。

実はこの銭湯、何年も前から営業をしており
所々老朽化が進んでいたのですが、改築する費用が無いということで
手を付けられていない場所が数か所あり、その一つがこのサウナ室でした。

普通ならなんてことはない震度3程度の地震。
しかしその少しの揺れが
原因となって扉が歪みロックされ、
中に田岡が閉じ込められてしまったのです。

父親が叫びます。「おい!!○○!!大丈夫か!!」すると扉の向こうから
小さく「熱い…」と聞こえてきます。先ほどの楽しい家族団らんから一変。

一気に緊張感が走ります。「今から助けを呼ぶから待ってろ!!絶対死ぬなよ!!」
と言って急いで更衣室に行き、119番でレスキューを呼びます。ロビーに戻り
周囲を見ますがまだ母親は出てきておらず、受付へ行って店員に今の状況を伝えます。

652: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:03:12.36 ID:bt+EQQQp0
すると慌てた様子の店員が奥の事務所から4,5人男手を呼んできて、
皆でサウナ室に向かいます。

店員の男たちと協力して扉を開けようと必死になりますが、
押しても引いても全く動く気配がありません。

そうこうしているとレスキュー隊が到着し、
「危ないですから離れてください」と言って
サウナ室の前を占拠します。

一人の隊員が丸鋸を持ってサウナ室の扉を破壊していきます。
この時父親は「頼む!早く助けてくれ!!」と必死で祈っていたそうです。
それから数秒、扉は完全に破壊され中へレスキュー隊員が突入。

すると中から意識を失い、
ぐったりとなった田岡がレスキュー隊によって運び出されます。
そのまま止まることなく風呂場を出て外へと向かっていきます。

653: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:03:49.63 ID:bt+EQQQp0
それに父親もついていきロビーに出ると母親が風呂から上がっていました。

レスキュー隊に運ばれる息子、後に続く父親。それを見た母親は血相を変えて
父親に詰め寄ります。「何があったの!?」そう自分の妻に言われたとき、
父親は、言葉では言い表しようのない感情に襲われ、ただ「ごめん…。ごめん…。」と
繰り返すことしか出来なかったそうです。

そのまま2人は一緒に救急車に乗り、病院へと向かいます。

この時父親は「なぜ、地震の後すぐにサウナの中を見なかったのか」と
後悔してもしきれない思いに苛まれていたそうです。

病院についてすぐ、田岡は集中治療室へと運ばれます。両親はその扉の外で待たされ、
交わす言葉もなく、ただジッと待つしかなかったそうです。

654: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:04:58.14 ID:bt+EQQQp0
どれくらいの時間が経ったのか、
しばらくするとガチャっと扉から
一人の医者が出てきます。

両親は祈る様な目で医者を見つめ、
母親がやっとの思いで「どうですか?」と聞くと医者からは
「一命は取り留めました。しかし意識は戻らず、油断できない状況です」と
伝えられます。

ここまで父親が話した後、
藤井はジワジワと寺に行った事を後悔し始めます。
そして「それで今、田岡君はどこに?」と聞くと
「今はまだ病院にいて、意識も戻っていない」と明かされます。
それに続けて「藤井君、俺は幽霊なんて信じたことはないが、
もし、もし息子が死んだら、俺は君を絶対に許せない」と言われたそうです。

父親としてもそんな霊的なものが原因とは思っていなかったと思います。

655: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:06:07.40 ID:bt+EQQQp0
しかし、あまりの偶然が重なり、
そして自分が助けられなかったという重圧に押しつぶされそうになり、
心にもないことを藤井に言ってしまったのだと思います。

しかし、当時中学3年生の藤井には
その言葉が重く、のしかかってきたと言います。

そして何より藤井は神主から
「もし霊本体が憑りついていたら、どうすることも出来なかった」という
言葉を聞いています。

藤井自身、「どうしてあの時寺に行くのをやめなかったんだろう」
と強く後悔したそうです。
しばらく沈黙が流れた後、父親の携帯が鳴ります。「ちょっと待ってて」と言って
父親はリビングを出て通話を始めます。数分経ってリビングに戻ってくると
父親が藤井に「一緒に病院に行こう」と言います。

それから車に乗せてもらい、病院に行くのですが父親は全くの無言。
重い空気が流れたまま病院に着き、そのまま病室へと案内されたそうです。

すると中で待っていたのは、白い布を被された田岡の姿でした。
藤井が言うには、その日の記憶はここで途切れて無くなっているそうです。

656: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:06:37.37 ID:bt+EQQQp0
これが寺の箱事件の真相です。
田岡が亡くなった次の日、藤井から連絡があり俺も通夜に参加しました。
その時の記憶は曖昧ですが藤井によるとその時の俺は
「現実が受け止められない」といった様子だったらしく、
葬式の場でもただ茫然としていたそうです。

657: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:07:53.89 ID:bt+EQQQp0
ここからは後日談ですが、今回登場した銭湯。

要は死亡事故を起こしているわけです。
しかし、銭湯側はこれ以上経営が傾いては
マズいと田岡家に示談を求め、事の隠蔽を謀ろうとします。

しかし、それを田岡の両親が受け入れるはずもなく、両者間で裁判になります。
結果裁判所の言い分は「老朽化の事実は確かにあるが、営業停止命令が出るほどの
ものではなく、今回の事故は銭湯側の過失ではなく天災による事故」と判断され、
銭湯側は無罪との判決を受けます。

ですがその後、田岡の両親がそれを不服として
上告します。今であればこうした事件はSNSを主として拡散され、
被害者家族が世間を味方に付けることも出来ますが、当時はまだそうでもなく、
その後裁判は泥沼化します。

そうした最中、なんと次の判決が出るまでに
この「○○の湯」が営業不振により倒産。すると銭湯の経営責任者が失踪。
結果裁判自体は田岡家の勝訴に終わるのですが相手は責任追及から逃れてしまいます。
この時TVでは地元の地方局が閉店したことをニュースで取り上げましたが、
裁判については触れず。田岡の両親はやり場のない怒りや悲しみを抱えたまま、
この事件は終わってしまいます。

658: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 19:08:58.18 ID:bt+EQQQp0
さて、ここまで俺の話を読んでくれてありがとうございました。

俺自身は霊的なものは全く信じていません。
藤井の謎の高熱や田岡の事故も、本人たちは全く悪くないと考えています。
しかし、あの夜寺に入った藤井は原因不明の病気にかかり、
箱を破った田岡が事故に遭い遺族が報われなかったのは事実です。

こう思うのはどうかと思いますが、
あの夜、寺に入らなくてよかったと思わずにはいられません。
念のため言っておきますが、今回の事件について調べようとするのは
呉々もお控えください。

被害者遺族の為にも、そっとしておいて貰えると助かります。
今回はあくまで、誰にも言えなかった心の底を皆さまに独白したかっただけです。

長文誠に失礼いたしました。

660: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 20:16:28.28 ID:TqOWPdUq0
要約したらこの手の話の良さが消し飛ぶよ

661: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 20:20:53.28 ID:XVIkgiMy0
文章も上手で読みやすいので、ぜひ通して読んでみて
村長のタヒざまがアレだったから、霊障もソレにまつわっているのだねぇ
合掌

666: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 21:29:05.65 ID:ieQSt6V+0
長文とか関係なく興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。
文章の構成が読みやすく考えられているので、逆に作り話なのかもと疑ってしまうほどでしたよ。

667: 名無しのオカルト 2025/10/18(土) 21:37:36.47 ID:1HwIgQZ50
>>666
こちらこそ読んでいただきありがとうございます。

情報を出し過ぎると特定の可能性があるので、事実と嘘のバランスを考えるのが大変でした。

管理人:霊障――取り憑かれていなくても、強い霊の「気」に触れただけで心身に不調が出るとされる現象らしい。中学生3人のちょっとした好奇心から始まる話で、長文だけど最後まで目が離せなかった。
気になった人はコメ欄で感想教えてほしい。
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